コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方
パソナグループは、創業以来「社会の問題点を解決する」という明確な企業理念のもと、ダイバーシティを推進し、誰もが自由に好きな仕事を選択でき、働く機会を得られることを目指して、様々な社会インフラを構築してきました。
パソナグループの仕事は「人を活かす」こと。すなわち、人々の心豊かな生活を創造する「ライフプロデュース」です。そして「常に高い志をもって、社会復帰を望む人、新しい人生にチャレンジする人、人生の目標に果敢に挑戦する人、誰もがそれぞれのライフスタイルにあわせた働き方で、豊かな人生設計を描ける社会を創ること」これこそが、当社グループの社会的責任(CSR)だと考えます。その社会的責任を果たすため、「パソナグループ企業行動憲章」を定め、当社グループの経営トップ以下、全役員・従業員が行動指針として正しく理解しています。
当社ステークホルダー(利害関係者)に対して、企業価値の継続的な向上を実現することは、企業としての基本的使命でもあり、その実現のため、東京証券取引所上場規則における「コーポレートガバナンス・コード」の趣旨を踏まえ、コーポレート・ガバナンスを充実させることは経営の重要事項と考えております。
経営監督の実効性と経営の透明性を確保しながら、迅速果断な意思決定を行うことで、中長期的な企業価値向上を実現してまいります。
コーポレート・ガバナンス体制
体制図

当社は、取締役会の監査・監督機能を強化し、コーポレート・ガバナンスを充実させるとともに取締役への権限委譲により迅速な意思決定を行い、経営の効率性を高めることを目的として、統治形態を監査等委員会設置会社としております。当該体制とすることで、経営環境の変化にも迅速に対応した経営判断が可能となり、適時適正な業務執行が行える体制と考えております。また、執行役員制度を導入し、代表取締役等の経営陣および執行役員に個々の業務執行の決定を委任することにより意思決定の迅速化を図っており、取締役会決議により定められた組織規程等に委任の内容を明示しています。
コーポレート・ガバナンスに関する取組み
時期 |
取組み |
2015年10月 |
業績連動型株式報酬制度の導入 |
2016年1月 |
独立社外取締役の独立性判断基準の開示 |
2016年2月 |
取締役会の実効性評価の導入 |
2016年12月 |
グループ業績評価の導入 |
2017年8月 |
監査等委員会設置会社への移行 |
2020年10月 |
社外取締役と執行役員との意見交換会の開始 |
2021年6月 |
指名・報酬委員会の設置 |
2021年7月 |
取締役のスキルマトリックスの策定 |
2021年7月 |
TCFDへの賛同 |
2022年4月 |
プライム市場への移行 |
2023年8月 |
社外取締役を4名(40%)に増員 |
2024年7月 |
報酬ポリシーの開示 |
2025年7月 |
取締役等を対象とした譲渡制限付株式報酬制度の導入 |
取締役会
取締役会は、当社経営全般の監督機能及び株主総会に次ぐ最高意思決定機関であり、監査等委員ではない取締役(任期1年)と監査等委員である取締役(任期2年)で構成しております。取締役会は、法令及び定款に定められた事項及び取締役会決議により定められた取締役会規程により、M&A、組織再編、重要な財産の処分・譲受け、多額の投融資等、当社及びグループ会社の重要事項等を決定しております。本報告書提出日現在、監査等委員ではない取締役5名(男性3名・女性2名)及び監査等委員である取締役5名(全員男性)のうち独立社外取締役は4名おり、役員の40%を独立社外取締役で構成することにより、取締役会の監視機能を強化しております。取締役会の議長はCEOが務めております。
取締役会の実効性評価
当社は取締役会のガバナンス機能のさらなる向上を目的として、毎年、取締役会全体の実効性評価を実施しております。評価方法及び評価結果は取締役会に報告し、取締役会の実効性をより一層高めるべく、必要に応じて取締役会の運営等の見直しを行います。
実効性評価の概要・結果については下記をご確認ください。
2024年度取締役会の実行性評価結果
開催実績・出席率 (2024年度)
当社の取締役は、定例取締役会を毎月1回以上開催するほか、必要に応じて臨時取締役会を開催しております。当該事業年度において開催した取締役会は17回であり、各取締役の出席率は100%でした。
取締役会の審議・報告事項
当該事業年度における具体的な審議・報告事項は次のとおりです。
- グループの中長期経営戦略
- 事業戦略 (新規事業含む)
- M&A、組織再編
- 決算、業績、財務戦略
- 予算管理
- 資産の取得、投資 (固定資産等)
- 利益相反取引
- リスクマネジメント
- コンプライアンス
経営会議
経営会議は、全社的に影響を及ぼす重要事項について、迅速かつ効率的な意思決定を行うために、原則として月2回開催しており、監査等委員ではない取締役4名(若本博隆氏、深澤旬子氏、山本絹子氏、南部真希也氏)及び常勤監査等委員1名(野村和史氏)ならびに役付執行役員13名(仲瀬 裕子氏、上斗米 明氏、河野 一氏、髙木 元義氏、八木 孝子氏、松村 卓司氏、進藤 かおり氏、大日向 由香里氏、金澤 真理氏、中田 光佐子氏、三ツ田 梓氏、板橋 光一氏、岡田 智一氏)で構成しております。なお、経営会議の議長はCEOが務めております。
監査等委員会
監査等委員会は、常勤の取締役1名と社外取締役4名(いずれも任期2年)の5名で構成されています。
監査等委員は、取締役会等の重要な会議への出席、取締役からの事業報告の聴取および関係会社に対する会計監査、重要な文書・帳票等の閲覧、会計監査人の監査方法が相当であるかの監査、監査室及びグループ内部監査室との定例会議等の監査活動により、業務執行状況全般を監視しており、監査結果は取締役会に対し文書または口頭で報告、必要に応じて助言または是正の勧告を行う場合もあります。
なお、監査等委員会の職務は、監査室の要員が補助従業員としてこれを補助しております。
社外取締役
社外取締役は当社の取締役選任の基本方針を踏まえたうえで、経営、財務・会計、法律等に加え当社グループの事業領域にも知見を有する人材を選定し、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図っております。
なお、舩橋晴雄氏、古川一夫氏、宮田亮平氏及び跡見裕氏は独立社外取締役に該当しており、取締役会において独立した観点から意見をいただけるものと考えております。
社外取締役の選任理由
舩橋取締役
行政及び上場企業の社外役員における豊富な経験を有しており、その経歴を通じて培われた幅広い見識を当社の経営の監督に活かし、独立した立場から、取締役会の意思決定機能及び監査・監督機能の強化が期待できるため、監査等委員である社外取締役として適任と判断しております。
古川取締役
株式会社日立製作所の取締役代表執行役執行役社長等を歴任し、情報通信をはじめとする技術分野の知見と企業経営・組織運営における豊富な経験を有しており、その経歴を通じて培われた幅広い見識を当社の経営の監督に活かし、独立した立場から、取締役会の意思決定機能及び監査・監督機能の強化が期待できるため、監査等委員である社外取締役として適任と判断しております。
宮田取締役
金属工芸家として日本芸術院賞の受賞をはじめ、数多くの受賞歴があり、文化庁長官として日本の文化行政を牽引されるなど当社が展開する地方創生事業に欠かせない文化・芸術分野における幅広い知見と、大学経営における豊富な経験を有しており、その経歴を通じて培われた幅広い見識を当社の経営の監督に活かし、独立した立場から、取締役会の意思決定機能及び監査・監督機能の強化が期待できるため、監査等委員である社外取締役として適任と判断しております。
跡見取締役
当社が展開するヘルスケア事業に欠かせない医学者としての幅広い知見と、理事長及び大学経営における豊富な経験を有しており、その経歴を通じて培われた幅広い見識を当社の経営の監督に活かし、独立した立場から、取締役会の意思決定機能及び監査・監督機能の強化が期待できるため、監査等委員である社外取締役として適任と判断しております。
独立社外取締役の独立性判断基準
当社の社外取締役及び社外取締役候補者は、当社が定める以下の独立性の基準を満たす者としております。
- 2親等以内の親族が、現在または過去において、当社または子会社の業務執行取締役として在籍していないこと。
- 現在、業務執行者・従業員として在籍する会社と当社グループにおいて取引がある場合、過去3事業年度において、その取引金額が当社の連結売上高の2%を超えないこと。
- 過去3事業年度において、法律、会計もしくは税務の専門家またはコンサルタントとして、当社グループから直接的に年間10百万円を超える報酬(当社の役員としての報酬及び当該社外取締役が属する機関・事務所に支払われる報酬は除く)を受けていないこと。
- 過去3事業年度において、当社グループから年間10百万円を超える寄付等を受ける組織の業務執行者ではないこと。
役員指名
取締役の指名・選任基準、手続き
取締役候補者については、取締役会全体としての知識・経験・能力のバランス・多様性を勘案し、人格、見識に優れた者を候補者とすることを基本方針とし、特に社外取締役は経営、財務・会計、法律等に加え当社グループの事業領域にも知見を有する人材を選定し、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図っております。取締役候補者の選定は、当社の独立性の基準を満たした独立社外取締役を過半数として構成された指名・報酬委員会が上記基本方針をもとに取締役会に答申し、取締役会の決議により決定しております。
取締役がその機能を十分に発揮していないと認められる場合は、事前に指名・報酬委員会が解任を審議したうえで取締役会にて決議し、株主総会に付議いたします。
また社外取締役は定期的に業務執行役員との意見交換会を実施しており、指名・報酬委員会の委員である社外取締役が業務執行役員の人格、見識等の資質を把握し、取締役候補者の指名に活かしております。
指名・報酬委員会の構成等
当社は、取締役の指名・報酬等に関する手続きの公正性・透明性・客観性の強化及び、コーポレート・ガバナンスの充実を図るため、当社の独立性の基準を満たした独立社外取締役を過半数として構成された任意の指名・報酬委員会を取締役会の諮問機関として設置しております。指名・報酬委員会は、取締役の選任・解任に関する事項、代表取締役の選定・解職に関する事項、役付取締役の選定・解職に関する事項の審議及び監査等委員ではない取締役の個人別の固定報酬等に関する事項の決定を行っております。
【開催頻度】 |
3回 (2024年度) |
【出席率】 |
100% (2024年度) |
取締役のスキルマトリックス
スキルサマリー
役員報酬
報酬ポリシー
① 基本方針
取締役会の多様性、及び人格・見識に優れたグローバルな経営人材を確保できる報酬水準であること。
当社グループの持続的な成長と中長期的な企業価値向上に資する報酬体系であること。
公正性、透明性、客観性の高い報酬決定プロセスであること。
② 報酬水準の考え方
第三者による国内上場企業の報酬サーベイ等をベンチマークとする。
役員の役位、役割、会社への貢献度等を勘案して決定し、外部環境の変化や役割等の変更に応じて報酬水準の見直しを適宜行う。
③ 報酬体系の考え方
- 役員報酬と当社の業績、及び株主価値との連動をより明確にし、当社の中長期的な業績ならびに企業価値の向上への貢献意識を高める。
- 監査等委員ではない取締役の報酬は、固定報酬(金銭報酬)ならびに株式報酬で構成し、株式報酬は、株主との価値共有を目的とした譲渡制限付株式報酬及び中長期的な業績ならびに企業価値の向上への貢献意識を高めることを目的とした業績連動型株式報酬によって構成する。原則として、金銭報酬:株式報酬(譲渡制限付株式報酬+業績連動型株式報酬)は6:4の割合となるように設計する。
- 監査等委員である取締役の報酬は、業務執行を行う取締役を監督する立場にあることを勘案し、固定報酬(金銭報酬)及び株式報酬としての譲渡制限付株式報酬によって構成し、原則として固定報酬(金銭報酬):株式報酬(譲渡制限付株式報酬)は8:2となるように設計する。
④ 報酬ガバナンスの考え方
当社役員の個別の報酬は、当社の独立性の基準を満たした独立社外取締役を過半数として構成されている指名・報酬委員会において決定する。
株主との対話
当社は株主・投資家・地域社会をはじめとするあらゆるステークホルダーの当社に対する理解を促進し、適正な評価と社会的信頼を得るために、当社に関する重要な情報(経営、事業、財務)の公正かつ適時・適切な開示を行う方針を持っております。
- 株主との対話全般についてはIR本部が所管し、IR本部担当執行役員が統括をしております。
- 株主との対話を充実させるため、IR本部と財務経理、経営企画、総務、法務等の関係各部門及び各事業部の責任者が有機的に連携し、迅速な情報共有や正確性の確認を行っております。
- 個別面談以外の取り組みとしては、本決算及び第2四半期終了後に機関投資家・証券アナリスト等を対象とした決算説明会を開催しているほか、個別面談やスモールミーティングを実施しております。また、当社ホームページに株主・投資家の皆さま向けのIRサイトを設けて、積極的な情報発信に努めております。
- 対話を通じて把握した株主の意見・懸念については、IR本部担当執行役員が経営会議、取締役会で報告しております。
- 株主との対話に際しては、インサイダー情報に十分に留意し、当社において重要事実の取り扱いを定めている「内部者取引防止規程」に則って対応しています。また、決算発表前2週間を「沈黙期間」とし、決算に関連するコメントや質問への回答を控えております。
開示方針につきましては、当社ホームページに掲載しております「ディスクロージャーポリシー」を参照ください。
コーポレートガバナンス報告書