離島へ移住するメリット
まずどんな島を離島と呼ぶのかを見ていきましょう。
公益財団法人 日本離島センターによると、北海道・本州・四国・九州および沖縄本島を本土と定義しています。そのため、本記事における本土とは北海道・本州・四国・九州および沖縄本島を意味します。
国土交通省は、その本土である北海道・本州・四国・九州および沖縄本島を除く島を離島と定義しています。2023年3月時点において、14,120島の離島のうち256が有人島です。
また、周囲長0.1km以上の海岸線で囲まれた陸地を島と定義しています。
参照:公益財団法人 日本離島センター「日本の離島の現況」
参照:国土交通省「日本の島嶼の構成」
ここからは、本土から拠点を移し、離島へ移住するメリットについて見ていきましょう。主なメリットは下記の3つです。
- 大自然の中で趣味を楽しめる
- のびのび子育てができる
- コミュニティの中で暮らす安心感がある
それぞれ詳しく解説していきます。
大自然の中で趣味を楽しめる
離島へ移住する大きなメリットは、大自然の中で趣味を楽しめる点です。離島では家から徒歩圏内に海や山があるケースが多くあります。
そのため、海・川釣りや山菜採りで得た食材を料理して楽しむことができます。
また、サーフィンやダイビングなどのマリンスポーツをはじめ、キャンプ、トレッキング、登山などの趣味を日常的に楽しめる点もメリットです。
都会暮らしで趣味を楽しむ場合、休日に遠方まで出掛けなければならないケースがほとんどです。一方、離島暮らしでは、休暇の楽しみだった趣味を日常生活の中で満喫できます。
のびのび子育てができる
都市部では、安全面から子どもを思いっ切り遊ばせられない場所が多くあります。
淡路島には兵庫県立淡路島公園や国営明石海峡公園などの大きな公園や、他にも子どもを遊ばせやすい大きな公園があります。大きな公園があることで子どもを思いっきり遊ばせてあげられます。
また、大自然に囲まれた離島も多くあります。豊かな自然に囲まれた環境で、のびのびとした子育てができる点も魅力の1つです。
コミュニティの中で暮らす安心感がある
離島は人口が少ないところが多く、島民同士のつながりが深い点が特徴の1つです。そのため、普段の生活から協力し合い、お祭りやお祝いごとなどは島全体で楽しむ傾向にあります。
移住者はすぐには受け入れてもらいにくい可能性もあります。また、移住者側としても、関係が希薄な都会とのギャップを感じるかもしれません。
しかし、島民の間に溶け込めれば、人の輪がぐっと広がり、良い関係性を築けるでしょう。
離島への移住で後悔しないために|事前に確認すべき4つのポイント
生活環境や仕事の面から、離島への移住を後悔している人も少なくありません。ここでは、離島への移住で後悔しないために確認したい下記4つのポイントについて解説します。
- 生活環境
- どんな物件があるか
- 自分に合った仕事があるか
- 補助金・助成金などの支援制度があるか
生活環境を確認する
生活の基盤を離島に移すため、離島の生活環境は重要なポイントとなります。交通アクセスや人付き合いなど離島の生活環境を確認しましょう。
■島内での移動と本土への交通アクセス
まず、島内で生活する場合の移動手段を確認しましょう。移住予定の物件から学校や病院、スーパーなどまでの距離や移動手段を事前に把握する必要があります。
ある程度の距離の移動が必要な場合、電車や路線バスなどの移動手段がなかったり、自家用車での移動ができなかったりすると、移住後に後悔してしまうでしょう。そのため、移住後の交通手段をどうするかを事前に確認しておくことが大切です。
電車や路線バスが運行している場合、本数・運行時間もしっかり確認しておきましょう。バスが運行している地域でも運行本数が少なく、早朝や夜は運行していないケースも珍しくありません。
また、都心部と比較すると島内は店の規模が小さく、店舗数も少ない傾向にあります。専門性の高い病院や学校も少ないため、定期的に本土に赴かなければならない可能性もあります。
そのため、離島と本土の間を運行する船や飛行機の便数が少なかったり、所要時間が長かったりすると不便さが先立ってしまうかもしれません。移住前に、本土からの交通手段や所要時間を事前に確認しておくことが大切です。
■人付き合い
離島によっては地域のつながりが強い場合があります。人と密接な関係性を保つことが得意な人は、離島の人付き合いにも向いているでしょう。
離島での深い人付き合いのメリットやデメリットは実際に体験しないと分かりません。お試し移住制度などを利用し、移住する前にどんな人が住んでいるのかを確認しましょう。
島民が一斉に参加するお祭りやイベントの有無などもWebサイトなどで確認することをおすすめします。
どんな物件があるかを確認する
離島で暮らす物件をWebで検索する人は多いでしょう。しかし、Webで確認して値段を見ただけで安い物件に決めてしまうと、移住後に、破損している、雨漏りしている、などといったトラブルが発生する可能性があります。
また、離島の環境に応じた設備を整える必要があります。たとえば、離島は海に囲まれているため、湿度が高く、家の中にカビが発生するケースも多くあります。除湿できるように、換気しやすい物件か、エアコンが設置されているかなども確認しておきましょう。
物件のトイレにも注目しましょう。離島には下水の処理設備が整っていない場所があり、トイレが汲み取り式というケースがあります。汲み取り式の場合、汲み取りの費用も考える必要があります。
このように移住先の住環境の情報を事前に調査し、具体的にイメージしておくことが大切です。
自分に合った仕事があるかを確認する
離島で生活していくためには、安定的に生活費を稼がなければならず、仕事のことも考える必要があります。
しかし、仕事内容が自分自身に合わない場合、ストレスを溜めてしまう可能性も否定できません。理想の離島生活を送ることはできないでしょう。
離島で理想の生活ができるかは仕事内容に大きく左右されるため、慎重に選ぶことが大切です。
ここでは、自分に合った仕事選びの方法を見ていきます。
■求人を探す
離島の求人は、次のような職種に限られているケースも少なくありません。
- 農業や漁業などの一次産業
- 介護や医療関係
- 建築関係
- 観光業
加えて、求人数が少ない傾向があるため、自分に合った仕事を見つけにくい可能性も想定しておかなければなりません。移住前に求人サイトや自治体の情報を確認し、就職先の目星をつけておきましょう。
まず、民間の求人サイトやハローワークを利用して、希望条件に合う求人を検索しましょう。加えて、下記のような離島専用の求人サイトも利用すると、より多くの選択肢の中から仕事を検索することが可能です。
- 公益財団法人日本離島センター
- 一般社団法人移住・交流推進機構「お仕事情報」
- 自治体の移住定住促進サイト
また、離島の自治体の窓口に相談する方法もあります。求人サイトには登録されていない求人や一般公募されていない求人が見つかる可能性もあります。
■地域おこし協力隊に参加する
地域おこし協力隊とは、地方への移住者に向けた国の支援制度の1つです。観光資源や地域ブランドの再開発、販売、PRなど地域おこしの支援を行いつつ、その地域への定住を図る取り組みです。
自治体によって給料と任期が定められており、給料は16万~20万円程度で、任期は1~3年と限定されています。
地域おこし協力隊として地方に赴き、定住するための基盤づくりを行うのも1つの手です。任期終了後、そのまま定住する人も増加しています。
補助金・助成金などの支援制度があるかを確認する
移住のために退職しなければならない場合もあり、移住前は資金面で不安定になることもあるでしょう。
各自治体が実施している制度には、移住者が条件に当てはまる場合、数十万円から最大で百万円ほどの補助を受けられるものもあります。また、移住先の仕事・住宅探しをサポートしてくれる自治体もあります。
支援制度の金額や条件、サポート内容などは自治体によって大きく異なるため、移住を検討している離島の制度を事前に確認しましょう。制度によっては、移住後の申請期限が限られているケースもあるため注意が必要です。
移住におすすめの離島
移住するのにおすすめの離島を見ていきましょう。本土とのアクセスが良い離島や補助金・助成金などの支援制度が充実している離島をご紹介します。
本土とのアクセスが良い離島
本土から短時間でアクセスできる離島は利便性が高いといえるでしょう。また、本土と橋でつながっている場合、車での移動ができるため、本土へのアクセスがより便利になります。
定期的に本土に行く予定がある場合、本土とのアクセスの良さを重視して選びましょう。
本土とのアクセスが良い4つの離島を見ていきます。
都道府県 |
島の名称 |
アクセス |
兵庫県 |
淡路島(あわじしま) |
- 本土との間に橋が架かっているため、車での移動が可能
- 神戸や大阪の市街地までは車で15分~1時間程度
- 高速バスも運行している
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広島県 |
似島(にのしま) |
- 広島港からフェリーで20分
- 広島の市街地まで約1時間
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愛媛県 |
興居島(ごごしま) |
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福岡県 |
能古島(のこのしま) |
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どの離島も本土までフェリーで10~20分、車で1時間程度で移動できます。週末は本土で買い物がしたいという人にとっては嬉しいポイントといえるでしょう。
補助金・助成金などの支援制度が充実している離島
補助金や助成金などの支援制度が整っている離島では、移住後の生活や仕事がしやすくなります。資金面でも安心した生活を送るために、支援制度が充実している離島から移住先を選択するのもおすすめです。
都道府県 |
島の名称 |
主な支援制度 |
北海道 |
利尻島(りしりとう) |
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新潟県 |
佐渡島(さどがしま) |
- 家賃やリフォーム費用などの補助制度
- 移住お試し期間中のサポート
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香川県 |
小豆島(しょうどしま) |
- 小豆島町移住促進家賃等補助金
- お試し移住体験施設の提供
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長崎県
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対馬(つしま) |
- 引っ越し費用や住宅の初期費用の補助
- 家賃補助
- 子育て世帯への移住支援
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鹿児島県
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種子島(たねがしま) |
- 2019年10月1日に移住定住促進補助がスタート(南種子町)
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沖縄県
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宮古島(みやこじま) |
- 宮古島市保育士就労渡航費等補助金交付事業の実施
- 子どもへの医療費助成
- 出産祝い金の支給
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利尻島や種子島のように島内に複数の自治体がある場合、自治体によって支援制度が異なるため注意しましょう。
離島移住の前に後悔しないよう、求人や支援制度などの情報収集を入念に
離島へ移住するメリットには、大自然の中で趣味を楽しめる点や子育てができる点などが挙げられます。
しかし、移住後に後悔しないためには、島内での移動手段と本土へのアクセスや仕事の有無などを事前に確認する必要があります。
特に、理想的な生活を送るためには、自分に合った仕事を見つけることが大切です。離島での求人は民間の求人サイトやハローワークだけでなく、離島専用の求人サイトで検索するとよいでしょう。
離島への移住を検討している人は、求人や自治体の支援制度を事前にチェックし、移住先を選択しましょう。
※支援金等の最新の情報は官公庁・各自治体の公式サイトをご確認ください。