移住の際、仕事はどうする？
移住時の仕事の探し方には、大きく分けて下記の3つのパターンがあります。
- 今の仕事をリモートワークなどで継続できないか確認する
- 移住前にその地域での仕事を探し、移住と同時に転職する
- 移住後に転職先を探す
1つ目は今の仕事をリモートワークなどで継続できないか確認することです。フルリモートワーク可、居住地不問の会社であれば、現在の仕事を変えることなく移住できます。
2つ目は移住前にその地域での仕事を探し、移住と同時に転職するという方法です。こちらの方法のメリットについては次の項で詳しく解説します。
3つ目は、移住後に転職先を探す方法です。この場合、希望の就職口がなかなか見つからないこともあるため、注意しましょう。
移住前に仕事を探すメリット
移住前に仕事を探しておくことは、引っ越した後で仕事を探すことと比べて、どのようなメリットがあるのか気になる人もいるでしょう。
引っ越し後の不安がなくなるのはもちろん大きなメリットですが、自治体などから支援が受けられることもメリットとして挙げられます。
ここでは、移住前に仕事を探す下記3つのメリットを紹介します。
- 仕事が見つからない状態を避けられる
- 支援を受けられるケースがある
- 環境になじみやすい
移住を考えているものの、どのタイミングで仕事を探すのがベストなのかと頭を悩ませている人は参考にしてください。
仕事が見つからない状態を避けられる
移住後に仕事を探す場合、思うように仕事が見つからない可能性があります。移住先に企業数が少ない場合、希望していた職種や業種の求人がない、ということも考えられます。
場合によっては、移住先に知り合いがいない、就職につながるツテがないということもあるでしょう。そのような状況で、移住後何カ月も仕事が決まらなければ、気持ちが焦り不安が募ることも少なくありません。
移住前に仕事を決めておくと、移住後すぐに仕事に取り掛かることができるため、生活費の心配もなく安心して暮らせます。
支援を受けられるケースがある
国や地方自治体などでは、東京への一極集中を解消するため、地方への移住を支援しています。しかし、2023年現在、国が行っている地方創生移住支援事業の移住支援金の対象は、東京23区の在住者または東京圏から東京23区へ通勤している者に限定されており、全ての人が利用できるわけではありません。
一方、地方自治体でも移住に関するさまざまな支援を行っています。支援内容は自治体により異なります。
就労に関する補助金を出しているところもあるため、支援を受けるためには移住前に仕事を探しておくとよいでしょう。
補助金は移住後に支給される場合が多いですが、移住支援金の対象求人に応募し採用されることで支援金がもらえるパターンもあります。
移住前に気になる移住先の自治体の支援を受けられる条件を確認しておきましょう。
参照：内閣府地方創生推進事務局「起業支援金・移住支援金 - 地方創生」
環境になじみやすい
地域によっては、すでに地域内の人間関係ができあがっているため、移住した人がそのコミュニティの中に入りづらいと感じるようなところもあるでしょう。
しかし、たとえ移住先に知り合いがいない環境下でも、既に仕事が決まっていれば、早い段階で同じ職場の人と人間関係を築くことが可能です。
職場で積み上げた人間関係を足掛かりに、さらに人脈を広げていくこともできるでしょう。
移住先での働き方
移住先での働き方として、真っ先に思い浮かぶのは「移住先の企業への就職」ではないでしょうか。
実はそれ以外にも、移住先の働き方にはいくつかのパターンがあります。ここでは、移住先での働き方について下記5つのパターンを紹介します。
- 移住先の企業で働く
- 移住先の魅力を活かした仕事に就く
- リモートワークを活用する
- 地域おこし協力隊に参加する
- 自分で会社を経営する
移住を機に「企業への就職」以外の働き方を模索している人も、参考にしてください。
移住先の企業で働く
まずは、移住先の企業で働く方法です。就職先については、民間の求人サイトやハローワークで探すことができます。
移住専用の求人サイトもあるため、仕事を探したい人はチェックしてみましょう。また、首都圏近郊にお住まいの場合、地方の自治体が首都圏のハローワーク等に地方就職支援相談窓口を開設している場合もあります。
その他、UIターン向けの就職フェアなども定期的に開催されているので、幅広く情報収集してみましょう。
移住先の魅力を活かした仕事に就く
移住を機に、移住先の自然を活かした農業・酪農畜産・林業・漁業といった第一次産業の仕事を始めたいと考えている人もいるでしょう。地方によっては、第一次産業を主要産業としているところもあります。
自治体によっては移住者に対して「就農支援」「漁業就業支援」などを行っています。第一次産業の仕事に就きたい場合は、自治体の支援制度の有無を事前に調べておきましょう。
また、地域の魅力を観光客にアピールしていく観光業も移住者に人気な仕事です。求人としては、リゾート施設の開発やホテル・レストランの運営スタッフ、観光客向けの旅行パッケージの企画などがあります。
移住先に魅力を感じて移住し、その魅力を観光客へさらにアピールしていきたいという方にはぴったりな仕事です。
リモートワークを活用する
現在働いている会社がフルリモート可、居住地不問であれば仕事を辞めずにリモートワークを活用することができます。フルリモート可という会社は増えているため、そうした会社に転職してから移住するのも一つの手です。
自治体によっては、新幹線通勤に補助金を出す制度があるところもあります。ただし、毎日の新幹線通勤は大変だと感じる人もいるかもしれません。
そのような方でリモートワーク可能な会社に勤務している場合は、新幹線通勤の補助金制度とリモートワークの組み合わせで、移住後も今の仕事を継続できるかどうか、検討してみてもよいでしょう。
地域おこし協力隊に参加する
地域おこし協力隊は、国が行っている地方活性化のための政策です。
地域おこし協力隊に参加した人は、実際にその地域に移住して地域ブランド・地場産品などの開発や販売、PRといった地域おこし支援、農林水産業への従事などの地域協力活動を行います。
活動内容や条件、待遇は自治体によって異なりますが、給料はおよそ16万～20万円、任期は概ね1年～3年となっていることが多く、自治体と積極的にかかわりながら暮らすことができる仕組みです。
住宅は自治体が用意し、家賃補助が出る場合もあります。
自分で会社を経営する
移住後の仕事として自分で起業し、会社経営を行う人も見られます。都会で起業する場合と比較すると、家賃や物価が安い点はメリットです。
移住と同時に起業する場合、自治体からの助成を受けられることが多いため、起業費用が削減できます。
自分で起業するほか、事業継承して自分の会社を手に入れるという方法もあります。経営者の高齢化や後継者不足で、事業継承が困難となっている会社は少なくありません。
後継者不足で困っている会社がある地域に移住して、今ある事業を継承していくのが「事業継承」です。既にビジネスとして成り立っている事業を受け継ぐため、設備投資や新規従業員の雇用が不要です。
ビジネスに欠かせない地域とのネットワークなどはすでにできあがっているため、起業するよりも失敗のリスクの低い点がメリットといえるでしょう。
移住時に仕事付きで住まいを探す方法
移住時に多くの人が心配ごととして挙げるのが、「仕事」と「住まい」です。仕事付きの住まいを探せば、2つの悩みが一気に解決します。
しかし、どのような方法で仕事付きの住まいを探せばよいのか、よく分からないという人も多いでしょう。ここでは、仕事付きの住まいの探し方について解説します。
寮付き・住み込みでできる仕事を探す
移住・住み込みに強いの転職エージェントや転職サイトを利用して、寮付きの仕事や住み込みでできる仕事を探してみましょう。移住したい場所や仕事内容などから仕事を探すことができるため効率的です。
特に、工場勤務などで寮付きの仕事が多く募集されています。また、農業や畜産業など第一次産業の仕事については、住み込みでできる仕事も見られます。自分に合った求人情報を探してみましょう。
農地付き物件を選ぶ
移住に伴い農業を始めたいと考えている人は、「農地付き空き家」を探してみてもよいでしょう。
場合によっては、本職として別の仕事をしながら兼業として農業を営むことも可能です。「農地付き空き家」は、農業をメインの仕事にするのではなく、別の仕事とともに農業をやりたいという人にとってもメリットの多い物件といえます。
移住時の仕事を選ぶときに考えるポイント
移住時に仕事を決める際、どのような点に注意すればよいかと悩んでいる人もいるでしょう。
後悔しないためにも、移住時に仕事を選ぶ際には下記3点をしっかり考えておきましょう。
- 生活に必要な収入が得られるか
- 自分のライフスタイルに適しているか
- 今後のキャリアに適しているか
それぞれについて、分かりやすく解説します。
生活に必要な収入が得られるか
都会と田舎を比較した場合、田舎のほうが家賃は安いことが多く、これまでの給料と比較して多少安くても暮らしていけると考えるかもしれません。しかし、田舎の場合「車がないと生活できない」という場面も多く見られます。
また、寒い地域に引っ越す場合は暖房に関する光熱費が思った以上にかかることもあるでしょう。プロパンガスの場合、都市ガスに比べてガス代が高くなります。
自身が移住先で必要な生活費を見積もり、その額に見合った給料かどうか事前に確認しておきましょう。
自分のライフスタイルに適しているか
移住の目的の1つに、生活の質を高めることがあるでしょう。移住をすることで、「ワークライフバランスを整える」「住環境を充実させる」「豊かな自然環境の中で暮らす」などによる生活の質の向上が期待できます。
ワークライフバランスを整えたいという目的の場合、家族と休日が合わない仕事を選択すると、当初の目的が達成できないため注意しましょう。
移住によってどのようなライフスタイルで暮らしたいのか、目的をはっきりさせた上で、それに見合った仕事を選ぶことが大切です。
今後のキャリアに適しているか
仕事を選ぶ際は、今後のキャリアに適しているかどうかも確認しておきましょう。
移住先の地域に定住する、移住先の地域に貢献したいと考えている場合は、その地域限定の仕事を選択してみるとよいかもしれません。他の地域では得られない、その地域だけの暮らしを深く味わうことができるでしょう。
例えば伝統工芸などの職人は、就労できる地域を選ぶ特徴的な仕事といえます。他の地域では味わえない体験をしながら働いていくことが可能です。
一方、現段階ではまだその地域に定住するかどうか分からない、という場合もあるでしょう。そのようなときは、地域限定の仕事ではなく、その後他の地域に引っ越しても続けられるような仕事を選択すると、次の転職につなげることが可能になります。
例えば、都心では競争率が高いプログラマーやデザイナーなどの求人でも、地方の場合は採用される可能性が高いこともあります。また、都心から地方の企業に外注することも多いため、都心と地方で身につけられるスキルに差がない場合があります。
地方でスキルを身につけたり経験を重ねたりして、都心に戻るなども選択肢の一つでしょう。
移住前に仕事の確保を｜キャリアや移住先の生活環境を加味して慎重に選ぼう
移住後に仕事を探すと、思ったような求人がなくて不安を感じることがあるでしょう。
移住前に次の仕事を決めておくと、安心して移住できます。仕事を選ぶ際は、移住先の生活環境や将来のキャリアについてよく考えておくことが大切です。
住居付きの仕事や寮付きの仕事を選ぶと、仕事も住居も一度に確保できるため、移住の際に感じる不安やストレスが少なくて済みます。
※支援金等の最新の情報は官公庁・各自治体の公式サイトをご確認ください。