シングルマザーが資格を取得するメリット
収入や働き方の向上を望むシングルマザーにとって、資格取得は選択肢の1つです。資格取得には、以下のようなメリットが考えられます。
仕事が探しやすくなる
資格を持っている人は応募できる求人の選択肢が増え、無資格の場合に比べて仕事が探しやすくなります。
また有資格者であれば、待遇面も良好な求人に出合う可能性が高まります。
好条件で採用されやすい
資格を持っていると給与や手当など、良い条件での採用が期待できます。資格を持っている人は、持っていない人よりスキルがあると見なされるからです。
たとえば、介護職などは資格がなくても就業できる場合がほとんどです。しかし、同じ業務に介護職員初任者研修の資格のある人が就いた場合、給料に差が出るのが一般的です。さらに上級の資格を持っていれば、より高収入が見込めます。
【年齢別】シングルマザーにおすすめの資格5つ
シングルマザーが希望に合った仕事に就くには、資格取得が有効です。しかし、働きながら子育てをして、さらに資格取得を目指すのは簡単ではありません。
また、職種によっては、資格とともに実務経験を重視されるケースもあります。そのような職種は、新たにキャリアをスタートする年齢もポイントになってきます。ここでは、費用と通学年数を踏まえて、目安の年齢別に資格を紹介します。
20代におすすめの資格
国家資格の中には高額の学費がかかるものがあり、資格を存分に活かすため、なるべく若いうちの取得が望ましいでしょう。ここでは、20代におすすめの資格として、作業療法士と歯科衛生士をご紹介します。
■作業療法士
作業療法士は、障害を負った人が「食事をする」「字を書く」などの日常動作を回復させるためのリハビリなどを行います。高齢化が進む日本においては今後ますます必要とされる仕事で、活躍の場も病院・福祉施設・介護施設などに広がっています。
作業療法士になるには、大学・短大・専門学校などで3年もしくは4年学び、国家試験に合格する必要があります。夜間のコースもあるので、働きながら学ぶことも可能です。学費は300万円前後が目安です。
作業療法士の年収は約400万円で、夜勤がほとんどないのでシングルマザーでも働きやすい職種といえます。
■歯科衛生士
歯科衛生士は歯科医師の治療補助や歯石の除去、歯磨き指導などを行う仕事です。歯科医院は日本全国どこにでもあるので、歯科衛生士の資格を持っていれば様々な場所で働くことが可能です。また、スキルがあれば続けやすい仕事でもあります。
歯科衛生士になるには、大学・短大・専門学校などで3年もしくは4年学んだのち、国家試験に合格しなければなりません。学費は学校ごとに異なりますが、300万円前後が相場です。夜間のコースもあり、社会人でも学ぶことができます。
歯科衛生士の年収は300万円台前半が多く、作業療法士より低めです。通常、歯科医院は日曜祝日が休みのため、シングルマザーでも働きやすい環境といえるでしょう。
30代におすすめの資格
30代でシングルマザーになり、そこから資格にチャレンジする人も多いでしょう。そういった方々が、資格を武器に未経験でも活躍できる仕事もあります。
■看護師
看護師は常に求人があり、収入も比較的高水準です。
看護師の資格には、正看護師と准看護師があります。正看護師になるには、大学・短大・専門学校などで3年もしくは4年学び、国家試験に合格する必要があります。学費は少なくとも200万円から300万円になります。
時間とお金をそれほどかけずに看護師を目指すなら、准看護師がおすすめです。
准看護師は2年制の准看護師養成所に通い、各都道府県の試験に合格する必要があります。准看護師は社会人になってから目指す人も多く、働きながら学べる養成所がほとんどです。准看護師として働きながら、定時制や通信制のコースで勉強をして国家試験に合格すると正看護師になれます。准看護師養成所の学費は、2年で約100万円程度が相場です。
正看護師の年収は勤務先や働き方にもよりますが、平均して450万円です。子どもの教育にもある程度お金がかけられます。一方、准看護師の年収の目安は約400万円弱です。
■保育士
共働き家庭の増加で保育士の需要は多く、高収入ではありませんが、保育士の資格があれば就職先には困りません。保育士の資格取得にはさまざまなルートがあり、学校に通わなくても通信講座などで学べます。そのため、お金をかけられないシングルマザーには、取り組みやすい資格です。
専門学校などに通学すると、最短2年で約100万円以上の学費がかかります。しかし通信講座で学ぶ場合は、自分のペースで勉強して国家試験を目指せる上に、かかる費用も10万円前後です。
保育士の年収は平均して300万円前後です。ただ通常、日曜祝日は休める仕事なので、シングルマザーにとっては働きやすいでしょう。
40代におすすめの資格
受験に年齢制限のない資格はたくさんあります。ここでは40代の就職に役立つ資格を紹介します。
■介護福祉士
介護福祉士は、介護が必要な人の身の回りの世話をする仕事です。高齢化社会の今、慢性的に人手不足のため、資格がなくても介護職に就くことはできます。しかし、介護福祉士の資格があれば、無資格より好待遇で働けます。また、ケアマネージャーにステップアップして、収入を上げることも可能です。
介護福祉士を目指すには、福祉系高校・専門学校・短大・大学で学んで国家試験に合格する以外に、働きながら受験資格を得るルートがあります。働きながら受験資格を得る場合、介護福祉士実務者研修を修了しかつ実務経験3年以上が必要です。介護福祉士実務者研修の資格取得には、20万円前後の費用がかかります。
介護福祉士の年収は働き方によりますが、平均して300万円前後です。しかし、実務経験を積めば、ケアマネージャーや認定介護福祉士などの上位資格も目指せます。
シングルマザーのための資格取得の支援制度
安定した収入を得られる資格を取得するには、高額の費用がかかります。しかし、シングルマザーが資格取得を目指す場合、費用負担を軽減できる支援制度があります。ここでは、母子家庭を支援する給付金や資金の貸付制度を紹介します。
自立支援教育訓練給付金とは、ひとり親が資格を取得する際にかかる教育訓練(講座など)の費用を支援する制度です。対象となる講座などを受講し、修了した場合にその費用の60%(下限は1万2,001円、上限は履修年数×20万円、最大80万円)が受けられます。
受給するには20歳未満の子を持つひとり親で、以下の要件を満たす必要があります。
- 児童扶養手当の支給を受けているか、同等の所得水準にあること
- 本人のスキルや労働市場の状況などから、講座受講が就職のために必要であると認められること
高等職業訓練促進給付金は、ひとり親が資格取得のため1年以上(最長4年)養成機関で学ぶ際に生活費を支援する制度です。給付金の対象者は以下のいずれも満たした人です。
- 児童扶養手当の支給を受けているか、同等の所得水準にあること
- 養成機関において1年以上の講座を受講し、対象資格の取得見込であること
支給額は以下のとおりです。
- 住民税非課税世帯:月額100,000円、訓練修了後50,000円支給
(養成機関における課程修了までの期間の最後の12か月は月額140,000円)
- 住民税課税世帯:月額70,500円、訓練修了後25,000円支給
(養成機関における課程修了までの期間の最後の12か月は月額110,500円)
対象となる資格は看護師、准看護師、保育士、介護福祉士、理学療法士、作業療法士、調理師などです。
上記の高等職業訓練促進給付金を受給する人を対象とした支援制度です。
養成機関の学費(上限50万円)、就職に必要な費用(引越費用など、上限20万円)が借りられます。養成機関を修了し、資格取得から1年以内に就職し、取得した資格が必要な業務で5年間就業を継続すると、返済が免除されます。
資格なし・未経験で就きやすい仕事はある?
「資格取得にお金をかけるのはいやだ」、「早く職に就ける方が嬉しい」というシングルマザーもいらっしゃるでしょう。ここでは、資格なしや未経験の場合でも就ける職種を紹介します。
介護職
先述した介護職は人手不足のため、無資格・未経験でも求人はあります。また、子どもが小さいうちは夜勤のない働き方も選択可能です。実務経験を積むことで介護福祉士の受験資格を得られるので、ステップアップも目指せます。
事務職・工場勤務など
事務職や工場などは常に求人があり、未経験者でも就業可能です。仕事内容は勤務先によってさまざまですが、平日中心の勤務でシングルマザーに向いているといえます。ただし、正社員の求人は少ないというのが現状で、長期に安定的に働くのが難しい場合があります。
シングルマザーの資格取得は制度を上手に活用しよう
シングルマザーが安定した収入を得るために、資格取得は有効です。子どものため、自分のために本気で資格取得を目指すなら、この記事で紹介した支援制度を活用するとよいでしょう。