文:INITIATIVE編集部
世の中には、日々の仕事に追われ、自身の夢や目標を諦めてしまう人も少なくありません。そうした中、顧問サービスの営業の仕事をしながら、幼少期から励んできたバレエにも関わり続ける「ハイブリッドキャリア」を実践する社員がいます。今回は、
パソナJOB HUBの功刀梓さんに、能力を最大限に発揮する秘訣を聞きました。
株式会社パソナJOB HUB プロフェッショナル本部 顧問ネットワーク8チーム
功刀 梓(くぬぎ あずさ)さん
「日々の努力を継続する力」で、トップの営業成績に
―現在の仕事について教えてください
新卒で入社し、現在は3年目です。プロフェッショナル人材の力で経営者が抱える様々な課題を解決する株式会社パソナJOB HUBにて、『パソナ顧問ネットワーク』サービスの営業担当として働いています。
ベンチャーから大手企業まで幅広く担当し、顧客企業の社長や役員の方々に経営課題や将来ビジョンをヒアリングさせていただき、その課題の内容に合わせて上場企業の元役員や特定領域に深い知見を持つ専門家、Webやマーケティングに特化したフリーランスなどの「プロフェッショナル人材」を顧問としてご紹介しています。お客様に伴走しながら課題解決を図るコンサルティングサービスを提供するのが仕事です。
▼「パソナ顧問ネットワーク」サービス詳細はこちら
https://www.pasona-komon.co.jp/
また、パソナグループでは、社員一人ひとりが夢や志を実現するために、多様なキャリアを創るチャンスがあります。会社が許可すれば複業も可能で、私は土日のほか平日1~2日、子供たちにバレエ指導をしたり、自分のための練習もしています。
―営業の仕事では、新入社員でいきなり、経験豊富な経営者の方たちと相対するのは難しかったと思いますが、いかがでしたか?
配属されて1年半くらいは、苦しみながら取り組み、試行錯誤の連続でした。1年目の営業成績は、あまり言いたくないのですが、実は最下位だったんです。ところが、入社2年目は社内でトップになることができました。
▲年間MVPの賞状を手に
―その秘訣は何だったのでしょうか?
「営業に対する意識」を変えました。今思い返すと、入社当時は「うちのサービスの良さを知ってほしい!」という思いが強すぎて、お客様にサービスの説明ばかりしていました。それを「まずは何か、お客様の力になりたい」と考え方を180度変えて、徹底的にお客様のお話を伺う姿勢を貫きました。サービスの提案を“二の次、三の次”にしたことで、お客様から色々とお話しを聞かせていただけるようになり、お客様の経営課題の本質にどんどん近づいていくことができました。
また、提案する内容よりも、お客様に寄り添うことで信頼を得ている先輩に感銘を受け、「私も“パソナJOBHUBの営業担当・功刀さん”ではなく、一人の社会人として“功刀さん”と呼ばれるように、信頼されたい」と、新しい営業スタイルに挑戦し始めました。
それからは、新たな目標に向けて、3歳から継続しているバレエで培った「日々の努力を継続する力」を最大限に発揮しました。中途半端な行動だと中途半端な結果で終わってしまうと思い、徹底的にその先輩の真似をしました。営業に同行したり、ミーティングをしていただいたり…、必死に食らいついて、しつこいくらいにアドバイスをいただきました。その先輩からしたら、本当に面倒な後輩だったと思います(笑)。
その先輩のご指導もあり、次第にお客様からのご相談もいただけるようになりました。入社以来、見捨てずに支えてくださり、たくさんのご指導をくださった上司や先輩方には感謝の言葉しかありません。
本気でバレエに向き合ったロシア留学
―功刀さんの「日々の努力を継続する力」の原点となった、バレエの経験について教えてください。
バレエは3歳のころから習っています。中学生になってからバレエコンクールにも出場し、全国で2位になることもできました。そんな中、高校入学後にバレエ留学の推薦をいただけることになったんです。非常に悩みましたが、ずっと応援してくれていた母とバレエの先生に恩返しをしたかったのと、こんなチャンスは二度とないと思い、高校を辞めて、単身でロシアへバレエ留学に行くことにしました。父にはすごく心配されましたけどね(笑)。
▲ロシアでの練習風景(左から2番目が功刀さん)
このバレエ留学がなかったら、今の自分はないと思います。ロシア人の中に、日本人の私が一人という環境がとても厳しかったのですが、負けたくなくて誰よりも練習しました。本気でプロを目指している人たちと切磋琢磨したことで、ストイックさは増したと思います。余計なことを考えずに、本気で何かに向き合う経験を積めたことは良かったです。
しかし帰国後、希望していたプロのバレエ団に落ちてしまい…。予備校に入り直して、大学受験に挑戦し、無事に合格することができました。
―努力を継続するモチベーションの源は何ですか?
バレエの世界に「1日サボると自分にばれる、2日サボると先生にばれる、3日サボると観客にばれる」という言葉があります。自分に嘘が付けないので、サボると自分が嫌になるんですよね。私は毎日寝る前に筋トレをすることにしているのですが、筋トレをしないと気になって寝付けません(笑)。
また、「人のために」というのもモチベーションの源ですね。ロシア留学に挑戦したのも母やバレエの先生に恩返しがしたかったからですし、大学入学後に入ったバレエ教室では、お世話になった先生に「指導者賞をあげたい!」というモチベーションで全国コンクールに挑戦。大学3年生の夏に、大学生~大人の部で全国1位になることができました。
努力は必ず結果に結びつくということを、これまでの経験で知っていることも、モチベーションに繋がっていると思います。
―功刀さんにとって、バレエはどんな存在ですか?
小さい頃は踊ることや表現することが純粋に楽しかったのですが、今や生活の一部なので、何と表現してよいものか…。バレエをする時間は、自分と向き合う時間であり、人生において無くすことができない時間ですね。
大人になると何かを限界まで突き詰める機会や、美しさを極める機会って、減っていくじゃないですか。そんな中、バレエは終わりのない努力をし続けられる場であり、自分を律してくれる、ありがたい場ですね。
居場所が増え、気持ちに余裕が生まれる「ハイブリッドキャリア」
―バレエと営業の2つの仕事をするのは、お忙しいでしょうね
大学時代、お世話になっていたバレエ教室から「指導者として教室を手伝ってほしい」という依頼を頂き、指導のアルバイトをしながら就職活動を行っていました。社会人になってからもバレエに関わりたくて、パソナ入社後はすぐに複業を申請。認めていただいて、ありがたかったです。
ハイブリッドな働き方は、傍から見ると忙しそうに見えるかもしれませんが、私は逆に気持ちに余裕が生まれました。入社当初は営業の仕事が上手くいっていなかったこともあり、バレエをすることで気持ちをリフレッシュできていたのかもしれません。また、バレエの仕事がある分、営業に割ける時間はその分短くなりますが、「意外と何とかなる」と身をもって学べたことも、心に余裕ができた理由かもしれません。
さらに、自分の「居場所」が増えるという良い面もあります。営業やバレエのどちらかが上手くいかないときも、「もう片方の居場所があるから大丈夫」と思えるようになりました。
―バレエ指導は、営業の仕事にどのように活かされていますか?
まだ自分には経験がないのですが、バレエの指導者としての経験はマネジメントにも活かせると思います。子供たちは素直で正直です。中途半端に向き合うと途端にバレますし、練習がつまらないと、時計を何度も見たり、「やりたくない!」と言ってきます。バレエを心から好きになってくれないと動いてくれないのです。人にやる気を起こさせることの難しさを学んでいます。
―今後の目標をお聞かせください
現在はハイブリッドな働き方をしていますが、営業としての目標数字は絶対に下げたくないと思っています。バレエをやっていても、目標は必ず達成したいです。
また、パソナに入社して人材サービスに携わっているのは、何よりも「人が好き」だからです。バレエの教え子たちには、ただ厳しく技術だけを教えるのではなく、バレエ以外も含めて「人として」成長していってほしいと思います。
今年5月にはバレエスタジオの発表会があるのですが、指導者として生徒たちの作品創りに関わると共に、私自身も舞台に立つ予定です。生徒たちの見本として、自分もまだまだ踊り続けたいと思っています。そして、少し特殊なキャリアを歩んできている人生の先輩として、「一見できないと思うようなことも、工夫と努力次第でできるようになる!」ということを伝えていきたいです。