パソナグループの営業が進化しています。淡路島で2021年6月、人材サービスの営業活動の一端を担う部署が立ち上がりました。大都市ではなく淡路島で営業を行う意義とは何か。株式会社パソナ セールスサポート部 副部長の柳尚希さんに、海に面したオフィス「パソナワーケーションハブ鵜崎」でお話を伺いました。
わかりやすく言うと、全国の営業拠点のそこでなくてもできる業務を切り分けて淡路島で行っています。今はまだ全ての営業部ではありませんが、徐々に広げながら順次淡路島に集めてきています。今一番進んでいるのは人材紹介サービスの部門で、約8割の事務業務を淡路島で行っています。
例えば、転職希望者の方に登録いただいた際のキャリアアドバイザーとの面談の日程を決めるために電話やメールで連絡を取ったり、選考に進んだ方の面接の日時調整をしたりしています。それ以外にも、求人情報の入力業務など本当に様々なことをしています。
約110名です。その7割が新たに採用をした方で、淡路島内在住の方や対岸の神戸や明石から通われている方、「淡路ビジネス留学制度」を使って東北や北陸から淡路島に移住して来られた方など、多様な人材が活躍しています。今後も淡路島でどんどん採用をして、業務を拡大していきたいと考えています。
今ITを使えば、どこでも場所を問わずに仕事ができます。それは、淡路島でも営業活動ができるということです。セールスサポート部は、営業プロセスの効率化やデジタル化の一環で生まれた部署であり、TeamsやZoomなどのオンラインMTGツールやメール等をフル活用しながら営業活動を行おうというものです。
東京や大阪などで同じように事務業務の集約やインサイドセールスなどをされている企業様は多いと思いますが、淡路島のような地方でされている企業はまだ少ないのではないでしょうか。そういう意味でも、我々パソナが行うことで地方創生につながればいいと思っています。
営業DX(デジタルトランスフォーメーション)で地方創生を目指す
―営業部門のDXに関して、どのようにお考えですか
私は、セールスサポート部でインサイドセールスのチーム長も兼務していまして、セールスフォース等のITも活用しながら、営業現場はもちろんマーケティング部門とも連携して業務を進めています。
コロナ禍以降、お客様からの問い合わせ手段がだいぶ変わってきました。これまで以上に、ウェブで検索してパソナを見つけていただき、サイトを通してお問い合わせをいただく機会が増えています。ですからマーケティング部門との連動は必須ですし、営業現場でもお客様とのやり取りがどんどんデジタルに移行していますので、営業部門全体のDXは不可欠です。
さらに言えば、これまでお客様と対面で行うことが大前提だった営業の仕事を、淡路島でもできるということを世の中に示していくことが我々パソナグループの役割であり、目指すべき姿だと思っています。働き方の選択肢を広げるという意味でも重要な挑戦ですし、パソナグループとして目指す地方創生にもつながっていくと思います。
人材サービスに携わる者として、雇用創造はもちろん地方創生にも関わっていくために、人材育成にさらに注力していきたいと考えています。新たな価値の創造を目指して、自ら考えて行動でき、仲間と一緒に努力して目標を達成できるような人材を育成したいという思いが強いですね。
淡路島にきて1年半が経過し、地方創生といっても一人では本当に何もできなくて、仲間の力があって成り立つということを痛感しています。同じ志を持つ仲間を増やし、若手を育成していきたいですね。
―営業現場にとって、DXはどのような意味を持ちますか
営業現場(フィールドセールス)は既存のお客様に対面で向き合い、インサイドセールスはオンラインでの新規開拓がメインです。業務の棲み分けを行うことで、営業現場としては今まで以上に既存のお客様に対して手厚いサービスができますし、新規開拓はインサイドセールスから案件を引き継ぐ形になるので、生産性も向上しています。
また、コロナ禍になってから、インサイドセールス自体は一般的になりつつありますが、パソナのインサイドセールス部門では、人材派遣や人材紹介はもとより、セカンドキャリアの支援や健康経営、BPO、福利厚生、教育研修といった幅広いソリューションを扱っているのが特徴です。特定の商材を売るだけでなく、総合営業をインサイドセールスで手掛けている会社はほとんどないと思います。お客様の課題を伺えば伺うほど、我々がご支援できる分野は多いと感じます。そういう意味でも新しいチャレンジだと思っています。
実はインサイドセールスのチームは半分が新入社員です。ここで営業のイロハやパソナグループの幅広いソリューションを学んでもらい、将来的に営業現場(フィールドセールス)に送り出していきたいと考えています。
インサイドで育ち、総合営業の力をつけたメンバーが現場に入ることで、営業としての幅が広がり、お客様の課題をより解決できるようになると思っています。メンバーたちは大変だと思いますが、こうしたビジョンに共感をしてくれて、日々勉強しながら頑張ってくれています。きっと将来、彼ら彼女たちがパソナグループの営業をより強くしてくれると信じています!
―現在はどういう状況ですか
地道に一つひとつ進めてきて、我々のスタンスやメンバーの頑張りが徐々に社内に浸透してきたと感じています。インサイドからフィールドセールスへの案件のパスも増えて結果も出てきたことで、「成約も出てきたし、インサイドのメンバーのレベルも上がっている」と思っていただけるようになり、今では重要なお客様の開拓を任せていただくケースも増えてきました。苦労はしましたが、認めていただけるのはチームとしても嬉しいですね。
また、週に1回、有志メンバーで就業後の時間に営業のイロハを学ぶ「柳塾」という勉強会を開催しています。コミュニケーションの取り方や、話の仕方、潜在ニーズの引き出し方など、本来なら営業現場で先輩に同行しながら学ぶことをインサイドのメンバーにも学んでほしいと思ったからです。
企業様のホームページなどを見て、事前に自分で色々と考え、もしかしたらこういう課題やニーズがあるのではないかという仮説を立てて、お客様から真の課題を引き出していく。そうすることで、お客様との会話が単純な「電話をかける」という作業ではなくなり、お客様のためどうしたら役に立てるのかという考え方に変わっていきます。そうした事前準備の大切さを伝えています。
働く仲間の人柄が良く、理念と考え方に共鳴
―柳さんは中途入社で7年目と伺っています。どうしてパソナに入社したのですか。
大学を卒業してIT企業に入社した後、人材紹介の会社で営業をしていました。結婚を機に、人材サービスに携わりながら長く勤められる会社で働きたいなと思い転職を決意しました。パソナキャリア(パソナの人材紹介サービス)を利用した後輩から「とても良かった」という話を聞いたのと、同級生にもパソナの社員がいて勧められたのがきっかけです。
実際に中途採用を受けてみたら、働く仲間の人柄の良さや、「社会の問題点を解決する」という企業理念、さらにお客様を第一に考えるという企業姿勢に共感し、「こういう会社で働きたい!」と思って入社を決めました。
―淡路島に来られた経緯を聞かせてください
パソナ入社後、当時のパソナキャリアカンパニーの人材紹介事業部 大阪支店に配属となりました。そこで営業担当として2年間、その後チーム長を拝命して2年間にわたりIT業界を担当し、それからコンシューマー業界(小売・流通・消費財など)を担当するチームの責任者を経験しました。
そして、昨年の2021年6月、自ら手を挙げて淡路島に来ました。コロナ禍になり、新しい環境でチャレンジしてみたいという気持ちが湧いてきたんです。当時、セールスサポート部で人材紹介部門向けのBPOセンターを淡路島で立ち上げると聞き、自分の今までの経験を生かして立ち上げに携わってみたい、チャレンジしてみたいと思い、思い切って一歩を踏み出しました。
重責だが、それ以上にやりがいも大きい
―淡路島に来て1年半が経ちましたが、いかがですか
本当に良かったなと思っています。当初は30名にも満たない組織だったのがどんどん大きくなり、今では130名にもなりました。形がないものを、自分で考えて創っていかなければならない大変さはありますが、その分やりがいは2倍、3倍も大きいです。
さらに、新入社員や若手社員が淡路島に配属されることも多いので、若手の教育や育成に携われていることも、とても嬉しいです。
もちろん責任も大きいのですが、若手社員が成長していく姿を見ていると、私自身も楽しいですし、彼らが喜んでいる姿を見ると、本当に応援したくなりますね。あの時、決断して良かったなと思っています。
―ご家族の反応はいかがですか
淡路島での挑戦を応援してくれています。以前より職住接近で、家族と過ごす時間も増えました。土日に淡路島のアニメパーク「ニジゲンノモリ」で、子供と走り回ったりすることもありますよ。
淡路島は自然が多くて海にも山にも近くて、心が穏やかになるリフレッシュ効果を感じます。特に私は長く大阪で働いていたので、オフィスには窓があっても回りはコンクリートのビルばかりだったので、いま考えるとやはりストレスを感じていたのかなと思います。今ではその環境とは全く違って、仕事中もふと窓の外を見ると綺麗な海が見えて…。ストレスフリーで、ものすごく働きやすいですね。
仕事が終わった後も、メンバーによっては釣りをしたり、ジョギングしたり…。休日に子供と楽しみながら海岸のクリーン活動に参加したりしています。自然が多く環境が良いからこそ、健康の大事さを感じています。
―パソナの良さは何だと思われますか
色々なチャレンジをさせてくれるところです。任せていただいて、やりたいことにチャレンジさせていただけるというのは、すごくありがたいです。何かやりたいと思ったときに、「頑張ってみろ」と応援してくれて、助けてくれる方がとても多いです。私自身も若いメンバーに対してそうありたいですし、素晴らしい企業文化だなと感じています。
それから、ともに働く仲間たちの人の良さ。それが社風であり、パソナの特徴であり、そういう人間関係で仕事をできることがすごく幸せです。「社会の問題点を解決する」という一貫した企業理念があって、皆がそれに共感して一つのベクトルに向かって動いているんです。パソナは、使命感と情熱をもって仲間と一緒に果敢に挑戦していく会社です。