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INITIATIVE「自分のキャリアは自分で創る」WEBマガジン

HR 2017.07.25 報酬より承認!?人手不足時代のエンゲージメント向上策とは

文:株式会社ベネフィット・ワン 執行役員 インセンティブ事業部長 瀧田好久

人材のモチベーションが低い日本


「人手が足りない」「人材が採用できない」――。

各企業の採用担当者が頭を抱える中、2017年5月の有効求人倍率(季節調整値)は1.49倍と、バブル期のピークだった1990年7月の1.46倍を上回り、戦後の高度経済成長期が終わりを告げた直後の1974年2月(1.53倍)以来、43年3カ月ぶりの高い水準となりました。堅調な経済環境はもとより、少子高齢化による生産年齢人口の減少という構造的問題が人手不足に拍車をかけています。
企業においては、これまで以上に社員一人ひとりの能力を最大限に引き出し、モチベーションを高め、パフォーマンスの向上を図ることが求められます。

しかしながら、米ギャラップ社による従業員のエンゲージメント(仕事への熱意度)調査によると、日本は「熱意溢れる社員」の割合が6%(米国は32%)しかなく、調査した139カ国中132位と最下位クラスとなりました(出典:日本経済新聞、2017年5月27日)。

優秀な人材が採用できないばかりでなく、既存従業員のモチベーションが上がらないことが、日本企業の生産性が低迷する一因となっています。



金銭的報酬は響かない


その理由のひとつは、働く人のモチベーションの源泉の変化です。過去には休日出勤も厭わずにモーレツに働けば、給与が上がり、昇進し、将来の保障が得られた時代もありましたが、今はそういう経済環境ではありません。特にミレニアル世代の若者は、お金や出世ではなく、「誰かの役に立ちたい」「頑張りを認めてほしい」などの思いが強い傾向にあります。

すなわち、モチベーションの源泉が金銭的な報酬から、達成感や自己実現、周りからの承認などに移ってきているのです。SNS投稿で「いいね!」などの反応を期待するように、会社でも周りからのフィードバックを求めていると言えます。

これは日本に限った話ではありません。米デューク大学のダン・アリエリー教授がイスラエルで行った実験で、興味深い結果が出ています。

成果に対する報酬として「現金(約3,000円)」「ピザ」「上司からの褒め言葉」のいずれかを提示したところ、最もモチベーション(労働生産性)が向上したのは「ピザ」(生産性が6.7%向上)で次が「褒め言葉」(同6.6%)だったそうです。一方、「現金」は4.9%しか上がらず、2日目以降には逆に低下するという結果となりました。
「ピザ」が高かった理由は、家族と一緒に食べるためです。会社(上司)からだけではなく、自分の大切な人からも仕事の頑張りを認めてもらう機会となり、モチベーションが高まったと考えられます。

また、世界中から優秀な人材が集まり、激しい人材獲得競争が繰り広げられるシリコンバレーでも、高いコストをかけて新規採用を行うのではなく、既存従業員に継続して働いてもらうために「承認欲求」を満たすことでエンゲージメントを高める取り組みが注目され始めています。



変化を求められるマネジメント


しかしながら、「承認」によって部下のマネジメントを行うことは簡単ではありません。具体的な成果ではなく、そこに到るまでのプロセスや裏方でのコツコツとした努力に目を向け、適切なタイミングで、公平かつ適切なフィードバックを行う必要があります。

もちろん、「できるマネージャー」と呼ばれる人たちは、以前から当たり前のように、このような部下への声かけやフィードバックを実施してきました。

しかし、昨今はプレイングマネージャーが増加し、営業であれば自身の担当顧客を持ちながら、部下のモチベーション管理や勤怠管理、予算管理などを行わなければなりません。アフター5に飲みに行く文化も減っていますし、IT化や多店舗展開・グローバル展開によりフェイス・トゥ・フェイスでのコミュニケーションも減少しています。現場のプレイングマネージャーが、適切な「承認」を継続するのは非常に骨の折れる仕事です。



「承認」を見える化するインセンティブ・ポイント


そうした課題を解決すべく、ベネフィット・ワンでは「インセンティブ・ポイント」の導入を提案しています。「インセンティブ・ポイント」は、ポイント管理システムと交換アイテムをワンストップで提供し、従業員のエンゲージメントを高めるサービスです。
各企業の実情に合わせて、オリジナルの社内ポイント制度を作ることができ、社員の承認欲求を満たし、モチベーション向上や離職率の改善に効果を発揮しています。

◆インセンティブ・ポイントHPhttp://www.benefit-one.co.jp/incentivepoint/

例えば営業部門であれば、成約や月間MVPなどの目に見える成果だけではなく、見込み顧客へのテレアポ件数や新規顧客との面談回数など、成約に至るまでのプロセスにおいて適切な行動をしている社員にポイントを付与し、頑張りを評価することができます。また、営業以外の部門でも永年勤続や業務改善提案、社内イントラでのナレッジシェアなどにポイントを付けたり、企業理念や経営ビジョンの社内浸透のために、それに沿った行動を取った社員にポイントを付与することなども可能です。

また、一定数のポイントを社員に付与し、そのポイントを同僚やお世話になっている人へ感謝のメッセージを添えてプレゼントできる「サンクスポイント」という機能もあります。
例えば、営業担当者が提案資料の作成を手伝ってくれた営業アシスタントに向けて、または客先に同行してくれた法務担当者にポイントをプレゼントするなど、「承認」を目に見える形にして社内で流通させることで、コミュニケーションの活性化やチームの結束力強化などの効果が見込めます。

ここで重要な点は、ポイントが「承認のしるし」であることです。ポイントを自分が欲しいものと交換できることは当然嬉しいのですが、それだけではなく、自分の頑張りを認めてもらい、それがポイントという形で記録・蓄積されていくことで「承認欲求」が満たされることが大切なのです。



社員の気持ちに寄り添う人事


多彩な機能を持つ「インセンティブ・ポイント」は自社オリジナルのポイント制度を簡単に作ることができるプラットフォームです。そして、そのポイント制度をどう活用していくかは企業次第です。

もちろん導入にあたり弊社では他社事例を紹介すると共にコンサルティングを行います。しかし最も大切なことは、各企業の人事が現場の社員の気持ちに寄り添うことです。社員は何があればモチベーションが上がり、どんなときに下がるのか。日々どんな仕事を、どういうプロセスで行っているのか。離職する理由は何か。そうした一人ひとりの日々の行動や想いに目を向けなければ、効果的な制度設計は不可能です。まさに、人事担当者の腕の見せどころと言えるでしょう。

働く人の価値観やモチベーションの源泉が大きく変化する中で、社員にどう報いていくのか。「承認」により社員のモチベーションを高め、エンゲージメントを強化する仕組みを構築することができれば、優秀な社員が定着し、企業業績を向上させることができるはずです。

◆インセンティブ・ポイントHPhttp://www.benefit-one.co.jp/incentivepoint/

(2017年7月発行「HR VISION Vol.17」より)

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