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INITIATIVE「自分のキャリアは自分で創る」WEBマガジン

イベント 2016.05.19 社内起業家たちが事業創造プロセスを徹底議論「イントレ・リーグ」開始!

文:INITIATIVE(イニシアチブ)編集部


イントレプレナー(社内起業家)の“ホームグラウンド”を作る!


4月21日(木)夜、東京・大手町のパソナグループ本部の地下1階。その日、起業家支援を手掛ける「Impact HUB Tokyo」(株式会社 Hub Tokyo)が主催し、パソナグループが共催した「企業の枠を超えてイントレプレナーが加速し合うプログラム『イントレ・リーグ』」の第1弾が開催されました。
会場に集まったのはおよそ30名。多くの方は大企業に籍を置きながら、新規事業の開発に取り組む「イントレプレナー」たちです。

参考記事:イントレプレナーとは何か? その可能性と、壁を乗り越える方法<前編>

冒頭の意気込みを語ったのはImpact HUB Tokyoの岩井美咲氏。
「私たちは、イントレプレナーを“企業や組織の中でその組織の経営資源を活かしながら、ゼロからイチを生み出そうとしている人たち”と定義しています。」

「企業の中でアイデアと情熱を持って新しいことに挑戦しながらも、孤軍奮闘している人は多い。『イントレ・リーグ』では、そうした人たちが成功事例・失敗事例を持ち寄り、価値観を共有できる仲間と切磋琢磨して、それぞれの事業をさらに発展させていくことを目指します」
と語りました。

2枚の名刺を持って活動



三菱商事復興支援財団 立石亮氏

イベントでは、まずイントレプレナーとして活躍するゲストスピーカー2名による講演が行われました。

最初に登壇したのは、三菱商事で東日本大震災の復興支援に取り組む立石亮氏。現在はご家族と共に福島県に移り住み、郡山を拠点に事業を行っているとのこと。

「学生時代は漠然と社会に貢献する仕事がしたいと思っていました。」
そう語る立石氏は、三菱商事入社後、海外向けに船舶を販売する仕事をしていたそうです。
しかし、震災のときに津波が田畑を覆っていく様子を見て「何かをしなければ」と思い、仕事をしながら復興支援のボランティア団体の運営を始めました。

「震災後、社内で復興支援に携わっていた部門に、自分なりの提言を持っていきました。今考えれば入社2年目の若者が組織を動かすような提言をしても受け入れられる訳がないのですが、現在の上司にあたる人が私の話にきちん耳を傾けてくれました。結局、その人との出会いがきっかけとなり、最終的に今の部署に移ることになりました。」

そして現在、立石氏は三菱商事復興支援財団を主軸にして、三菱商事と財団の両方の名刺を持って活動しています。
三菱商事復興支援財団では、被災地域の金融機関等と連携して地域の中小企業向けに投融資を行う「産業復興・雇用創出支援事業」や、被災地域の学生向けの「学生支援奨学金」事業、NPOなどの非営利団体への「復興支援助成金事業」などを行っているほか、社団法人を通じて福島の果樹を使ってワイン・リキュールを造る「ふくしま逢瀬ワイナリー」を運営しています。

社内への「翻訳」と「事業計画の作り込み」


立石氏は、復興支援でこれまで成果を上げてこられたポイントについて、次のように語ります。
「まず、三菱商事という会社としてこれまでやってこられたのは、トップの理解があったからだと思います。『4年間で100億円投資する』という、フレキシブルな方針を示してくれたことは、現場としてはとてもありがたかったです。」

「また個人としては、これまでのどの瞬間でも、自分が大事だと思うことをやり続けたことですね。そして、“運と縁”に恵まれたと思います。特に上層部に自分と同じビジョンを持った方がいたことは大きく、自らが会社に提案したことが、もちろん私が提案したからだけではないでしょうが、結果的に実現しました。」

イントレプレナーとして、これまで意識してきたことについては、
「CSRの一環でワイナリーを立ち上げるという取り組みは、日本でも他に例がないと思います。しかし私たちがやってきたことは、一般的な事業の立ち上げ時の起業家がやっていることと基本的には同じことで、プロセス自体は割と普通です。しかしながら、社内で事業を進めるうえで『翻訳』と『事業計画の作り込み』を意識してきました。」

「三菱商事社内で使われる言葉と福島の現場の人が使う言葉、スタートアップ領域で使われる言葉はそれぞれ異なるため、それらを社内の人たちに伝わりやすいようにその都度翻訳してきました。」
「また、“ビジネス審査畑20年”のような人が見ても、その指摘に耐えられるようなクオリティの事業計画を作り込むなど、事業の基準を自社に合わせる努力をしました」と語りました。

インドの農村でイチゴを栽培



NEC 渡辺周氏

次のゲストは日本電気(以下、NEC)の渡辺周氏。NECで農業関連の新規事業の開発を行いながら、宮城県の農業生産法人 株式会社GRAにも所属して海外関連事業を担当しています。

GRAとNECは、インドの農村で日本のイチゴを栽培するプロジェクトを進めています。コンセプトは「農村エリアの雇用創出と貧困削減」で、現地NGOの協力のもと、日本の技術(GRAの農業技術とNECのIT技術)を使って現地の人たちの手で美味しいイチゴを作り、“高付加価値商品”として都市の富裕層向けに販売しています。

自分のやりたいことを定義する


「今は農業で社会課題を解決し、ビジネスでそれを実現したいと思っています」といきいきと語る渡辺氏。
しかし、新卒でエンジニアとして入社した前職のメーカーでは、日々楽しく働きながらも「3カ月に一度くらい、『自分は何のために働くのか』『何をしたいのか』と考えて、ひどく落ち込むことがあった」そうです。

最初の頃はなかなか答えが見つからなかった渡辺氏ですが、その後「2009年頃に自分のやりたいことを『途上国開発』と定義して、震災後の2011年頃から動き始めました。」

「多くの人は、就職活動のときは『自分は何をやりたいのか』を頑張って考えていても、入社後3年くらい経つと全く考えなくなってしまいます。しかし、そうした“想い”がないと、新しい事業は創れません。」と語ります。

そして、自分なりの“なぜ働くのか”“何をやりたいのか”を定義できると、「悩みは一切なくなり、どうすれば一番成果を上げられるかに集中できる」とのこと。

「企業の中で新規事業を行ううえで、事業の収益性などは当然大切ですが、金銭的価値では測りにくい『社会的インパクト』を生み出そうすると、どうしても周りに理解されないことがあります。しかし、自分のやりたいことの定義が定まった後は、「事業のことを周りから否定されても、『もう一度違うやり方を探そう』と考え、自分の中で挫けなくなりました。」

社会的インパクトを生み出すためのリソースは大企業にあり


なぜそうした新規事業を企業に所属しながらやるのか、という問いに対しては、
「自分のやりたいことだけやりたければ、自分で会社を立ち上げれば良いという意見もありますが、私は『社会的インパクト』を生み出すための人材や資金のリソースを多く持っているのは大企業だと信じています。その中で何とか自分の想いを実現する。社内リソースが足りなければ、社外を巻き込んでやろうと思っています。」

また、自らの経験を振り返り、「組織の外部と内部を行き来して双方の立場から物事を見て、お互いの良いところを繋ぐことが自分の価値だと考えています。組織は異文化が入ると必ず拒否反応が出ますが、想いにもとづき『正しいことをやっている』という信念を持って前に進むようにしています」とのこと。

従来の企業は、組織のビジョンや目標に向かって社員が頑張るのが当たり前とされましたが、最近は社員個人の想いを理解してくれる企業が増えてきたと感じているという渡辺氏。
最後に「大企業の中で自分のやりたいことに気付いていないのはとてももったいない。個人の想いやビジョンを実現しようと頑張る人が、もっと増えれば良いなと思っています」と語りました。



新規事業は“夏休みの自由研究”


お二人の講演の後はグループワークが行われました。
6名ほどの5つのチームに分かれ、イントレプレナーとして活動する中での各自の課題観を共有し、解決策について意見を出し合いました。

グループワーク後の発表では、

「日本企業は長期的なR&D(研究開発)が苦手。そこで、個人の活動を、企業のR&Dと位置づけてはどうか。」
「新規事業は、小学生の夏休みの自由研究と同じ。大人からの指示で“やらされた”自由研究はつまらないが、本当に自分がやりたい研究をした子供はいきいきと成果を発表する。同じように、会社から『新規事業をやれ』と言われて、評価のために立ち上げた新規事業はつまらない。個人の想いから始まる新規事業が、会社の長期的なR&Dとなり得る」
という意見や、

「チャレンジを認める企業風土をどう作るかという課題への答えは、『勝手にやる』こと(笑)。周りの人に『あの人は勝手にやっている』と認められる存在になるのが大切。そのためには、他社とのつながり以上に、社内で認められる実績が大切。そして、熱意を持って夢を語り、発信し続けることで、仲間が見つかっていくと思う」
などのアイデアが共有されるなど、積極的な意見交換がなされました。



イントレプレナーが会社を超えて、個人としてつながる場「イントレ・リーグ」。
次回のVol.2は5月25日(水)に開催されます。ご興味を持った方は、是非お申し込みください。

「イントレ・リーグVol.2」参加申込みはこちら
https://hubtokyo-intreleague.doorkeeper.jp/events/44152

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