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INITIATIVE「自分のキャリアは自分で創る」WEBマガジン

HR 2016.04.19 イントレプレナー(社内起業家)とは何か? その可能性と、壁を乗り越える方法 <後編>

文:INITIATIVE(イニシアチブ)編集部

昨今、社会課題解決の視点から、またイノベーション創出人材の育成という企業人事の視点から注目が集まっている「イントレプレナー(社内起業家)」。4月21日(木)、起業家支援を続けてきた「Impact HUB Tokyo」(株式会社 Hub Tokyo)が今年から展開する「企業の枠を超えてイントレプレナーが加速し合うプログラム『イントレ・リーグ』」の第1弾がパソナグループ本部で開催されます。
イントレプレナーの可能性や抱える課題、その克服方法に関する、「イントレ・リーグ」の立ち上げメンバー4人によるディスカッションの【後編】をお届けします!



Impact HUB Tokyo 公式ウェブサイト: http://hubtokyo.com
「イントレ・リーグ」公式ウェブサイト:http://intreleague.com


(前編はこちら)

失敗を許す文化がイントレプレナーを育てる




――日本では起業家が育ちにくい、という議論をよく耳にします。イントレプレナーを発掘し、育成していくためには何が必要でしょうか?

髙木:
人事という立場からこの点について考えると、背景には国や企業の文化的な違いがあるのではないでしょうか。失敗を許す文化・環境なのか、失敗したら次がないのか。

遊びを持つことの重要性とも言い換えられますね。遊びがない企業は、急な経営環境の変化に対応しにくいと思います。
失敗は成功の種という考えのもと、積極的にチャレンジする文化・企業風土が大切だと思います。主力事業を如何に伸ばしていくかにだけ集中するのではなく、新しい事業を作り出し、雇用を生み出していくことが重要です。“成功の反対は失敗ではなく、何もしないこと”。イントレプレナーの重要性はこれからますます高まっていくことでしょう。

イントレプレナーの発掘・育成には、経営層や人事が積極的に関わり、会社としてきちんと応援していくこと、そして社員がチャレンジしやすい風土を醸成していくことが必要です。まだ形の定まっていない新規事業にチャレンジしようとすると、どうしても会社の片隅でやるような雰囲気がありませんか?そうではなく、会社のど真ん中で挑戦してもらう環境を創る、イントレプレナーとして活躍する社員の可能性を、少しでも引き出していきたいですね。

パソナグループでは、創業者でありグループ代表の南部靖之が、ベンチャースピリットを持ってチャレンジしようとする社員の可能性を最大限に引き出すよう、常に意識しています。

岩井:
以前、スペインのバスク地方の学生起業家がImpact HUB Tokyoを訪れたときに、かれらの起業に対する価値観を伺う機会がありました。
バスク地方では若年層の失業率が非常に高く、仕事のない若者たちがたくさんいます。しかし、そういう状況だからこそ、バスク地方の大学では起業家育成のカリキュラムがとても充実しているそうです。起業家を生み出すことが、地域の雇用を生み出すという考えです。

起業家として何もないところから有を生み出す「0→1」の力と、既存の事業を大きくしていく「1→10」の力は違います。どちらも大切ですが、「0→1」の力を養うことを支援し、そうした考えを持った方が増えれば、企業も社会も面白くなるのではと感じています。

髙木:
「0→1」を成し遂げるのは大変ですよね。端から見ると「あの人、何やってるの?」と思われてしまいます。
しかし、そういう人をサポートすることや情報提供をすることが企業の責任だと思います。大企業になるほど、意識的に発信していかないといけません。

――失敗を許容する文化の醸成ということですね。イントレプレナー本人に対する支援としてはどのような取り組みが必要ですか?

岩井:
「挑戦していいんだよ」という後押しを、企業の中でどう継続的に、組織的にやっていくかが鍵ですね。




加藤:

少し個人的な話になりますが、私が仕事をする上で最も大切にしていることは「人の可能性と創造性の最大化」です。

「100%本気か」と問われて、「YES」と答えられる人は、世の中にはとても少ないと思います。上司に「やめておけ」と止められたり、「本気を出しても評価をされないのでは」という懸念から、一歩を踏み出せていない人は多いのではないでしょうか。

私が昨年、SOCAPに参加して出会った人たちは、自らの可能性を信じて、やれることは全てやろうという人たちでした。夜に語り合っていても会社の愚痴は一切出ず、「課題に気づいた俺たちがやっていこう」という話ばかり。その姿勢に共感し、また感動しました。

岩井:
事業を起こす過程も様々なフェーズがあります。まず、世の中の課題に気づくフェーズ。その気づきに対して自分が何をすべきかという「軸」を考えるフェーズ。そこで感じた軸をもとに、実際に行動を起こすフェーズなどです。

まだ自分の中での軸が固まっていない方も、加藤さんがSOCAPで体験したのと同じような経験をしたら、変わっていくと思います。そうした体験ができる仕組みを企業内にいかに作るか、そして、その軸をいかにして事業として発展させていくかが課題です。

想いを持つ人との繋がり、心の火を絶やさない


 

加藤:
イントレプレナー予備軍の心に火を点け、それを継続させていくには、問題意識を持って前向きに行動している人たちと、どれだけの時間を共有できるかにかかってきます。
そうした人たちに囲まれていると、自然と自分の感性・アンテナが広がっていき、マインドが変わっていきます。

心の火は油断するとすぐに消えてしまいます。

火が消えてしまうときというのは、自分の信念が揺らぐときなのです。
自分の想いを周りに語っても響かない。自分の考えが間違っているのではないか…。そうして周りに影響されていき、心の火が消えてしまうことが「組織に染まっていく」ということなのではないでしょうか。

自分に想いがあるうちに、同じように強い想いを持つ人たちと繋がっておく。そうすると、困難に直面しても自分のビジョンを実現しようと思い続けることができる。そういう意味で、コミュニティはとても大切なのです。

多くの会社では、そういう想いを周りに話しても理解されないケースが多いです。イントレプレナーにとって、それはとても大きなストレスだと思います。それが続くと、心の火がしゅんと消えてしまうか、転職してしまう。
企業としては、そうした“着火”している人たちを集めて、繋げていく取り組みが必要です。

しかし、そうした人が繋がる機会は、そこまで多くありません。そもそも社会的な仕組み化がされていないことは大きな課題です。

髙木:

私の課題感としては、突き抜けたレベルの強い想いを持っている人たちは、既に社内外に何らかの繋がりを持っている方が多いのですが、そこまでいかない、少し手前のフェーズにいてモヤモヤとした想いを持っている人たちに対して、企業としてどのようにサポートできるか、挑戦する勇気を持ってもらうことができるか、ということです。
「自分にもできるかも!」と一歩を踏み出すきっかけを作っていくことです。

長年人材サービスに携わり、いま人事という仕事をやる中で、本当に興味深いと思うのは、人はどこでスイッチが入るか分からないということです。
スイッチが入れば、一人で勝手にやっていきますが、そこに到るまでには壁があると感じています。人事部で教育研修に携わる立場から、多くの方の心の壁を取り払い、「スイッチを入れる」という仕事をしていきたいと思っています。

岩井:
「軸」を持つことや、「心の火」を点火したり「スイッチ」を入れるためには、内なる自信、自己肯定感がとても大切だと思います。会社内での成功体験だけではなく、プライベートで活動したことで得た成功体験が、未来への自信に繋がります。
いま、モヤモヤした気持ちを抱えている人に伝えたいのは、「動くからこその未来がある」ということです。

髙木:
インパクトが大きいのは、やはり「人」ではないでしょうか。人と会うこと。「凄いな!」「尊敬するな!」「共感できるな!」そう感じる人と如何に多く出会うかだと思います。

人のエネルギーって凄いですからね。凄いと思う人と出会えば、突き動かされるものがある。真似をしてみたいと思う。これからも、そのような機会を多く作っていきたいと思います。



イントレ・リーグが目指すもの


――そうしたイントレプレナーの「繋がる仕組み」としてスタートするのが、この度の「イントレ・リーグ」ということですね。


岩井:
私が今回のプログラムを「イントレ・リーグ」と名づけたのは、“チーム感”を出したかったからです。帰ってくるホームグラウンドがあるようなイメージですかね。心の火を点火し直す場としたいと思っています。

イントレ・リーグに参加することで、自分が何をしたいのかという軸を再確認できる。企業の立場ではなく、個人の立場で何をしたいかをお互いに語り合い、フィードバックし合い、それを企業に持ち帰って日々の業務に落とし込んでいただく、ということを目指しています。

もちろん交流だけではなく、真面目でアカデミックな議論もしていきたいです。

加藤:
結局は参加者が自分の哲学を確認する場になると思います。

SOCAPで夜な夜な語り合ったときもそうでしたが、話す内容そのものよりも、他の参加者の哲学や考え方、価値観が共鳴しあっていくような感覚が新鮮でした。
それが自分の想いに対する自信に繋がり、また頑張ろうと思える。本来の自分に戻してくれるような感覚です。

岩井:
イントレ・リーグは、Impact HUB Tokyoとしても新たな挑戦です。今まで私たちが起業家支援で経験してきた「価値観が共鳴し合う」文化は、企業で働く人にも通じると思います。
如何に企業の枠組みを超えて繋がることができるのか。そして「粘着力」のある繋がりを創れるのか。どのようなコミュニティが生まれるのか、今から楽しみです。

髙木:
このような取り組みは、継続性が大切ですからね。参加メンバーは入れ替わっていっても良いので、続けていくことが大事だと思います。

私も最近感じるのですが、自分の中でモヤモヤと考えていたことが、他の人からそのモヤモヤとした考えを、言語化された話として聞くことで、途端にハッと気付かされることや、やりたいこと、なりたい姿が明確になることがあります。
モヤモヤとした悩みを抱えたイントレプレナーはとても多いと思います。イントレ・リーグでの“言語化された人”との出会いが、とても価値あるものになるのではないでしょうか。

想いを持ったイントレプレナーに来てほしい




山口:
イントレ・リーグに参加していただきたいのは、今まさに企業の中で闘いながら事業を走らせている人、そしてこれから取り組もうとしている人たちです。

イントレ・リーグは、企業の中で戦いながら燃え尽きそうになっている人に、伴走して勇気付けて励ましていくと同時に、これから取り組もうとしている人には、そうした人と触れ合うなかで自分の心の火を点すきっかけを提供していきます。

加藤:

そういう意味では、「立場としてのイントレプレナー」を集めたいわけではありません。私たちが集めたいのは「想いがあるイントレプレナー」なのです。

「自分の問題意識からくるアイデアを形にしたい」「これは自分がやらなければならない」「会社も含めたあらゆるリソースを使ってそれを実現したい」という想いや使命感を持っている人には、現時点でモヤモヤとした悩みを抱えていても、ぜひ参加していただきたいと思っています。

逆に、自分の想いではなく、単に「新規事業担当者」という肩書きを持っているというだけの方には、合わないと思います。

もちろん、イントレ・リーグでは行動フェーズの支援もしていきますが、本気の人たちが繋がれば、勝手に進んでいくという側面もあります。
そのためにも情報をクローズにしないことが大切です。もちろん会社員という立場上、社外で話せないことはあるでしょうが、自分の抱えている課題をできる限りオープンにする。そこに共感が生まれ、コミュニティが出来上がり、それぞれのメンバーが自然発生的に自走し始める。

イントレ・リーグではそのようなイントレプレナーのコミュニティを創っていきたいと思っています。興味がある方は、是非ご参加ください!

――皆さん、本日はお忙しい中ありがとうございました。




「イントレ・リーグ」第1回イベントの申し込みはこちらから。
https://hubtokyo-intreleague.doorkeeper.jp/events/41890


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