2023年、関西電力グループの人材会社「かんでんジョイナス」がパソナグループに加わり、「パソナジョイナス」として新たなスタートを切りました。その先頭に立ち、着任からわずか3年で売上130%超、営業利益200%超の成長を実現したのが、パソナジョイナス 代表取締役社長 柚木憲一さんです。柚木社長のこれまでの歩みを伺いました。
統合で感じた、フィールドの広がり
―パソナグループへの入社は34歳の時だったと伺いました。
2003年でした。それ以前はウエディング業界で営業やプランナーをしていました。人を集めてチームをつくりマネジメントするという点は、いまの仕事にも通じていると感じます。人材業界に転職したのは「働くこと」を支援する仕事に魅力を感じたから。一人ひとりの人生やキャリアに関われる仕事がしたいと思い、中堅どころの年齢でしたが、パソナグループに入社しました。
最初は、株式会社パソナ京都というグループ会社で、京都・滋賀・奈良エリアの人材派遣サービスの新規営業から始め、その後はチームマネジメントをしていました。
2011年にパソナ京都が株式会社パソナへ事業譲渡され、突然、数千人規模の会社になり、カルチャーショックを受けました。戸惑いも大きかったですが、自分自身にとってはフィ―ルドが広がり、キャリアアップのチャンスだとも考えました。
ピンチをチャンスに変えるのは「覚悟」
ちょうどそのころ、リーマンショックで民間企業の求人が大きく落ち込んだため、自治体の業務委託事業へ挑戦することになりました。それまで経験のない仕事だったので、本当に苦労しました。クライアントやスタッフの方からお叱りを受けることもあり、その経験を通じて学んだのは「覚悟を決める」ということです。その事業がうまくいき、クライアントの役に立つためには、100%自分の責任だと覚悟し、言い訳はせずにしっかりとマネジメントをすることだと思い至りました。
パソナグループには「社会の問題点を解決する」という企業理念があり、そしてそこには、挑戦の歴史があります。当時も、背中を押してチャレンジさせてくれた上司や、伴走してくれたたくさんの仲間たちがいました。苦しいからこそ覚悟を決めて乗り越え、ピンチをチャンスに変えて取り組んできた経験は、自分の成長につながったかなと思います。
また、2016年には、他企業のグループ会社から事業譲渡されたチームを受け入れる側の責任者を務めました。異なる文化を持つ組織を統合するのはたいへんなことです。統合される側とする側と、私はその両方を経験してきたからこそ、会社が変わることへの不安や戸惑いを理解することができたと思います。
売上130%、利益200%を支えるのは「人の力」
―2023年にパソナジョイナスの社長に就任されました。
「社長になれ」と言われたときには驚きましたが、「いつか経営に携わりたい」「社長になりたい」と自分のキャリアプランに書き続けていましたので、言っていたことが実現したという感じでした。
実はパソナジョイナスの誕生は、従業員の方々にとっては寝耳に水の出来事でした。M&Aが発表されたその日、約50人の社員の皆さんとの顔合わせがありましたが、彼らにとっては、知らない人が突然現れて「これから社長になります」と言われたわけです。関西電力グループから離れて、新たな企業文化のもとでスタートすることへの不安も大きかったでしょう。ただ、その場で私は自分自身のこれまでの経験を話し、「皆さんの驚きや困惑は理解できるし、そうしたことをこれまでサポートしてきたので安心して一緒に頑張っていこう」とお話しました。
―業績の良い背景には、何があると思われますか
「人の力」です。社員数も大きく変わっていませんし、事業領域も大きく変えていません。それでも売上は130%超、営業利益は200%超へ成長しているのは、社員一人ひとりの成長によるものです。私は、社長としてのミッションを「業績を上げることと、人を育てること」だと自分に課しています。人が育たなければ、業績は伸びません。
まず着任後すぐに、一人ひとりが何を考え、どんなキャリアビジョンを描いているのか、全社員と個人面談をしました。繰り返し伝えているのは「失敗してもいい。とにかくチャレンジしよう」ということです。それまでのジョイナスには、インフラ企業ならではの安心・安全の文化が根付いていました。一方、パソナグループはチャレンジの文化です。その2つの価値観が融合し、そのカルチャーのもとで社員が育ってくれたことが、伸びた原因かなと思っています。
私は、その人がどこへ行っても活躍できる「働く力」をつけていってほしいと思っています。エンプロイアビリティ(労働市場価値を含んだ就業能力)を高め、将来パソナジョイナスを離れたとしても、今の経験が、次のキャリアで花開くような育成をしたいと思っています。
エネルギー業界の人材インフラ企業になる
―今後、どのような会社にしていきたいですか。
元々、関西電力グループだったパソナジョイナスは、これからは関西電力はもとより、電力業界、さらに日本のエネルギー分野で働く人たちのインフラ会社になりたいと思っています。
AIの普及や、災害リスク、地政学リスク、脱炭素化への対応などで、業界を取り巻く環境は大きく変化しています。その一方で、発電所や電力設備を支える現場では人材不足が深刻化しています。発電所のある地域では人口減少も進んでいます。だからこそ、パソナジョイナスが人材の面からエネルギー業界をサポートしていく企業になりたいと思っています。
―社長として大切にしていることを教えてください。
まずは自分自身が元気でいること。社員に元気でいてほしいなら、社長自身が健康で前向きでいないといけません。ご機嫌な社長のもとには、ご機嫌な組織ができると思っています。
また、多くの人に会い、話を聞き、多くの本を読み、たくさんのことを吸収したいと思っています。おかげさまで、パソナジョイナスは、関西エリアの美術館や博物館の受託事業もさせていただいています。そのご縁もあり、ビジネスだけでなく、文化やアートなどリベラルアーツにも触れながら、自分の器を大きくしていけたらと思っています。
