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環境だより「SONAERU」

2050年の海は、魚よりもごみの量が多くなる?!私たちの美しい海をこれからも守るために

誰しも、青く美しい海に、心を打たれた経験をお持ちではないでしょうか?しかしその海は今、様々な環境問題に直面しています。これからの海の環境保全活動に求められることは、単なるごみの削減だけではありません。

今回は、環境委員会のメンバーでもある、パソナ・パナソニック ビジネスサービス 経営企画部 稲垣知也マネージャーに、近年の海の環境問題をはじめ、パソナグループが取り組む海の環境保全活動、そしてブルーカーボンへの取り組みについてインタビューしました!

目次

  1. 近年注目される“マイクロプラスチック問題”
  2. 将来を担う、子どもたちへの環境教育
  3. 地元の方々と共に進める “ブルーカーボン”への取り組み

“今の海”を知る「マイクロプラスチック問題」とは?

海の環境問題について教えてください

皆さんは、1年間で海に流れているプラスチックごみの量がどのくらいか知っていますか?実は、世界で少なくとも年間800万トンに達しているといわれており、このペースでごみの増加が進めば、2050年には海洋中のプラスチックごみの重量が魚の重量を超えると予測されています。

そして近年、特に深刻な問題として注目されているのが“マイクロプラスチック問題“です。海に流れたマイクロプラスチックを海の生き物が食べてしまうことで、海洋生物の生態系の破壊に繋がっています。さらには、化学物質に汚染された魚を人間が食べることで、間接的に私たちの体内にも化学物質が入ってしまい、人体への影響も懸念されています。

まずは環境知識を身に付けよう!マイクロプラスチックとは?

  1. ・直径5ミリメートル以下のプラスチックごみ
  2. プラスチックの生産段階で発生するものと、プラスチックが紫外線や風雨にさらされて劣化し、粒子状になったものの2つに大別される
  3. 歯磨き粉などに含まれるスクラブ剤の原料など、私たちの身近な生活からも発生
  4. 一度流出すると回収はできず、製品化された後の対策は難しい
“今、海で何が起こっているのか” もっと海について学んでみませんか?
▼環境省「海洋生物多様性保全戦略公式サイト」
https://www.env.go.jp/nature/biodic/kaiyo-hozen/index.html

未来を創るのは子どもたち。海の環境教育の重要性

海を守るために、今、何が求められているのでしょうか

海の問題の解決に向けてどのような環境問題があるのか、またその原因は何なのか―。まずは、私たち一人ひとりが現状を知り、知識を身にけることが大切です。少しの知識を身に付けるだけでも、私たちの様々な生活の場面で、何気なく行っていた行動を見直していくことができます。

そしてそのために求められるのが、教育。特に子どもたちに向けた環境教育に取り組むことは何よりも重要です。大人になってから学び始めるのと、子どもの時から知識として身に付いているのでは、環境保全に対する意識も大きく変わってきます。

これからの未来を創っていくのは子どもたちです。私たちが今、子どもたちにどのような教育の機会を与えていくかで、地球環境の未来は大きく変わっていくのではないでしょうか。

教育の面において、どのような取り組みを行っているのでしょうか

パソナグループでは、国内外の様々な拠点で環境保全活動のイベントに取り組んでいます。そしてこの度、「世界海洋デー(6月8日)」に合わせて、兵庫県南あわじ市の阿万地区地域づくり協議会が6月4日(土)に開催した「阿万プロジェクト ~世界海洋デー 海の環境教育イベント~」に、パソナグループの社員やそのお子様などのご家族、約20名が参加しました。

▲兵庫県南あわじ市にある阿万海岸海水浴場でのイベントに参加

▲海の問題について学ぶディスカッションや、海で見つけたごみの発表会を実施

▲海に落ちている貝やごみを拾いながら観察する「ビーチコーミング」を実施

▲子どもたちに海をより身近に感じてもらうために、ビーチを活用したスポーツ「エアバドミントン」を実施

近年、安全面での配慮などから、子どもたちの「海離れ」をよく耳にします。このようなイベントを通じて、楽しみながら地元の海について学ぶ機会を創ることで、まずは地元の海を知ってもらい、そして海を守りたいという想いが芽生えるきっかけになったらいいなと思います。

地元の方々との信頼関係が要。“ブルーカーボン”の取り組み

近年注目されている、“ブルーカーボン”の取り組みについて教えてください

近年注目されている海の環境保全活動として、“ブルーカーボン”という取り組みがあります。 “ブルーカーボン”は海の炭素という意味で、海の中にある海藻生物がCO2を吸収し、土の中に蓄積してくれた炭素のことを言います。

国連環境計画(UNEP)が2009年に発行した報告書『Blue Carbon』で初めて定義され、日本ではまだマイナーな取り組みではありますが、近年地球温暖が進む中、今後さらに取り組みが広がっていくのではないのかと思います。パソナグループでも1年ほど前からブルーカーボンの取り組みに着目し、様々な準備を進めています。

ブルーカーボンを促進するために、どのようなことが求められるのでしょうか

海藻をたくさん植えればいいと思う方もいるかもしれませんが、海には漁業権などの様々な権利があり、海藻も勝手に植えることはできません。そのため、漁協組合や地元の方々の理解や協力が非常に重要で、“一緒に海を守りたい”という我々の想いを、しっかりと理解をしていただくことが大切です。

また、新たな海藻を植えることで生態系を壊してしまう可能性もあるので、その海にはどういった魚が住んでいるのか、その海にはどのような特徴があるのかを、地元の方々や専門知識を持つ方々に教えていただきながら取り組みを進めていくことが求められます。

パソナグループでは、ブルーカーボンの活動を始めて約1年が経過しましたが、地元の方々にも私たちが地道に環境保全活動に継続して取り組んでいることを知っていただくようになり、少しずつ活動の輪が広がってきたと感じます。時間をかけて地域の方々の理解を深め、今後も更にブルーカーボンの取り組みを広げていきたいと思っています。

循環型社会の実現に向けて、パソナグループができること

パソナグループが求められていることは、どのようなことでしょうか

近年では全国で地域の過疎化などの問題が深刻化していますが、“美しい地元の海を守りたい”“地元を活性化していきたい“という地域の方々の想いは、どの地域でも共通していると思います。

そしてそうした想い元に実際に行動していくのは、私たち以上に、地域の方々であることが重要です。海の環境保全活動を通じて、例えば、将来漁業に興味を持つ子どもが育ち、そこで働く人々が増えれば、地域の活性化にも繋がっていく―。
私たちパソナグループには、そのような循環型社会のきっかけとなる仕組み創りが求められていると思います。

今後の展望について教えてください

私自身、パソナグループに入る前までは、これほど環境問題について深く考えることはありませんでした。しかし環境問題は、知れば知るほど面白く、そして美しい地球をこれからも守っていきたいという強い想いが芽生えてきます。さらに活動を通じて、地域の多くの方々との繋がりを構築することができました。 まずは私たちの身近なことからで良いので、環境について触れる機会を一人ひとりが持っていくことが大切ではないでしょうか。

地域の方々がこれまで築き上げてきた歴史や想いを私たちも共に学び、共感していきながら、これからも地域の方々と共に汗を流して、海の環境保全活動に取り組んでいきたいです。