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HR 2016.02.15 いまさら聞けない!?「改正労働者派遣法」企業が対応すべきポイント

2015年9月、改正労働者派遣法が施行されました。法改正による変更点や、派遣先企業が準備しなければならないこと、注意すべきポイントなどについて解説します。

1. 派遣期間制度のポイント
2. 雇用安定措置の影響
3. 「派遣労働者のキャリアアップ」や「均衡待遇の推進」とは




今回の法改正はわかりやすい派遣期間制度への転換が図られていますが、そのポイントを教えてください。


改正前の派遣法では業務区分ごとに派遣期間の制限の有無が定められていました。これが法改正により、業務内容は問わない二つの期間制限に改められました。
一つは「個人単位の期間制限」で、派遣先の同一組織単位において、同一の派遣労働者を受け入れることができる期間が3年までになりました。
ここで言う「同一組織」とは、課やグループなど業務の類似性や関連がある組織が想定されており、実態に即した判断が必要です。仕事の内容が変わっても、同じ派遣先の組織単位で就業している期間であれば通算されます。3年後、別の派遣労働者であればクーリング期間を設けずに受け入れることが可能です。

二つ目は「事業所単位の期間制限」です。ここで言う事業所とは雇用保険法やその他の雇用関係法令における概念と同様のものとされています。
そして、派遣先の同一の事業所で3年を超える期間継続して労働者派遣の受け入れをする場合は、事業所の過半数労働組合(または労働者過半数代表)からの意見聴取手続きが必要になります。
ですから派遣先企業は事前に、事業所の定義と、その事業所で改正法の下で派遣受け入れを開始した起算日を明確にしておく必要があります。
また派遣契約締結の際には、派遣元に期間制限抵触日を通知しなければなりません。
受⼊可能期間を超えて派遣労働者を受け入れた場合は派遣先が指導や勧告を受けたり企業名を公表されることもありますし、「労働契約申込みみなし制度」の対象にもなります。部署ごとに派遣労働者の受け入れ管理をしている事業所などでは、事業所における起算日のチェックを慎重に行うべきでしょう。

意見聴取は、事業所の派遣受入期間制限に抵触する最初の日の1月前の日までに行わなければなりません。
また、派遣先企業は、期間中に受け入れた派遣労働者数や正社員数の推移などの参考資料を示しながら、誠意をもって説明を尽くすことが求められています。意見聴取を行った記録を残し、事業所に備え付けるなどの方法で社員に周知する必要があります。
期間制限がこのように変わったため、派遣契約の管理はこれまで以上に重要になります。手続きをしっかりと行い、帳票類も内容やフォーマットを整備しておかなければなりません。

「派遣労働者の雇用安定措置」は、派遣先にどのような影響がありますか?


派遣労働者が継続して同一の組織単位で3年間従事する見込みがあり、継続就業を希望する場合、派遣元は派遣先に対して直接雇用を依頼することが義務づけられました。そこで直接雇用に至らない場合は、派遣元が新たな派遣先を確保したり、派遣元で無期雇用を行ったり、教育訓練や紹介予定派遣の対象とすることも派遣元の義務となりました。

一方、1年以上同一の組織単位で継続して受け入れている派遣労働者が、継続して就業を希望し、派遣元から雇用安定措置として直接雇用の依頼があり、派遣契約終了後に同一業務で新たに直接雇用を検討する場合には、派遣先にはその派遣労働者を雇い入れる努力義務が発生します。
必ず雇用しなければならないというものではありませんが、派遣労働者のキャリアに極力ブランクを作らないようにするための措置として定められました。

「派遣労働者のキャリアアップ」や「均衡待遇の推進」はどのようなものでしょうか?


新しい制度として、事業所において1年以上受け入れている派遣労働者に、その事業所の正社員募集の内容を周知する義務が定められました。
また、同一の組織単位で派遣受入可能期間制限の上限まで働く見込みの派遣労働者で、派遣元から直接雇用の依頼があった場合には、派遣先はその派遣労働者に、事業所における正社員・有期雇用社員を問わずすべての直接雇用の情報を周知する義務が定められました。

均衡待遇の推進については、福利厚生施設(給食施設、休憩室、更衣室)の利用機会の提供が配慮義務として定められたことに加えて、派遣元からの求めに応じて、業務遂行に必要な能力付与のための教育訓練や、同種の業務に従事する派遣先労働者の給与水準等の情報提供を行う配慮義務が課せられています。
また、派遣元には教育訓練やキャリアコンサルティングを行う義務が定められましたが、これを適切に行うために、派遣労働者の業務遂行状況などの情報を提供し協力するという努力義務も定められました。
 
(2016年1月発行「HR VISION vol.14」より)

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