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INITIATIVE「自分のキャリアは自分で創る」WEBマガジン

HR 2018.08.10 会社と個人の関係が変わる!東京大学・柳川範之教授が語る「これからの働き方」【前編】

文:INITIATIVE編集部

パソナグループで社内外の専門家と共に様々な社会課題の解決に向けたフォーラムの開催や提言を行うパソナ総合研究所は今年7月、第一回提言「働き方改革 Beyond」を発表しました。今回は、提言策定にあたり開催したワークショップで講演いただいた、東京大学大学院経済学研究科 柳川範之教授に、これからの働き方と組織のあり方について伺いました。

<後編はこちら

<パソナ総研 第一回提言「働き方改革Beyond」はこちら



海外で過ごした学生時代


私は中学校を卒業した後、10年間ほどまともに学校に行っていない時期がありました。べつに不良だったわけではありません(笑)。当時、親の海外赴任でブラジルに住んでいたのですが、日本語学校は中学校までしかなかったため、高校3年間は参考書を船便で日本から送ってもらい独学をしていました。とは言っても、リオデジャネイロのビーチにいる時間のほうが長かったかもしれません。
その後日本に帰ってきて大検を取り、次にまた親の赴任に付き添いシンガポールに行き、そこで慶応大学の通信教育課程を受けました。シンガポールはビーチがあまりないので、プールサイドがメインでしたね(笑)。卒業後は東京大学の大学院に進み、そこからは真面目に研究者の道を歩み始めました。

ですので私は、進学校に通い、大学入試を受けて…、という人生ではありませんでした。しかしそのぶん、いわゆる「普通」のルートを辿っていなくても活躍のチャンスは色々なところにあるということを、実体験を通じて学んできました。研究者になってから「働き方」を考えるうえで、若いころのこうした経験は大きな糧になっています。

平均寿命の伸長と急速な技術革新


さて、これからの働き方がどうあるべきかを考えていくうえで重要となる、世の中の変化が2つあります。

一つは、寿命が伸びていることです。元気に社会で活躍できる期間が確実に伸びている。1960年代は平均寿命が65歳でしたが、今や80歳。定年後のセカンドキャリアの期間も長くなりました。同じ会社にずっと勤めて、それで一生を終えるという人は、これからほとんどいなくなるでしょう。それは、働く人にとって大きなチャンスでもあり、キャリアを考えるうえでは今の会社にこだわらないという意識が必要になります。

二つ目は、テクノロジーの急速な発展です。
ここで重要なことは、AIやIoTなど具体的なテクノロジーの中身ではなく、「急速な」変化であるという点です。実はゆっくりとした技術革新であれば、私たちにとって大きな影響はありません。現役の間は、一度身に付けた古い技術で何とかやっていき、新しい技術への対応は次の世代に任せることができます。しかし、今は変化のスピードが速く、10年前と比べても全く異なる技術が使われています。企業はそうしたテクノロジーの革新に対応していかねばなりません。

一般的に、日本企業は技術変化への対応スピードが遅い傾向にあります。すなわち、産業構造の変化がゆっくりしています。なぜなら、雇用に負担をかけないことを非常に大切にしてきたからです。日本企業では、技術が新しくなったからと言って、古い技術・スキルを持った現在の人員を解雇し、古い工場を閉鎖して新しい工場を建てるようなことはあまりしません。

日本企業のやり方にはメリットもありした。実は、変化に素早く対応することと、一時的なショックに強いことはコインの裏表の関係です。一時的なブームや景気変動などのショックに対して素早く反応しすぎると、少しのあいだ我慢して待っていれば元の状態に戻るのに、貴重な人員を解雇し、工場を閉鎖してしまうことになります。しかしながら、現在の技術革新は構造的なものです。企業はこの変化に速やかに対応していかねばなりません。

このように、急速な技術革新が進む一方で、寿命が延びて働く期間が長くなっている。この2つの相反する力が働いていることで、今の時代に日本の長期雇用の仕組みが対応できなくなっていると言えるでしょう。

時間と場所にとらわれない働き方


技術革新のもう一つの側面として、時間と場所にとらわれない働き方の広がりがあります。
これはAIの発展以上に、働き方へのインパクトが大きいと私は考えています。人が同じ時間に一か所に集まって議論することも大切ですが、テクノロジーのおかげで、いつでも、どこにいても仕事ができるようになりました。

それにより労働時間管理の考え方も変わっていきます。
私は少年時代にブラジルで暮らしていたので、今でもサッカーが大好きです。ワールドカップの時期は毎日寝不足でした(笑)。例えば、家で原稿を書きながら、横目でサッカーを見ている。これは、労働時間としてはどうカウントすべきでしょうか。また、通勤時間に仕事に関係ある本を読んでいる時間はどうでしょうか。これらの問いは、考えること自体にあまり意味がなく、生産的な議論とは思えません。

どのような手段で労働時間を管理するべきか、そもそも時間管理が本当に可能なのか、意味はあるのか。今後、本質的な議論が求められます。

スキルの“フロー化”に対応する「40歳定年制」


現代は、技術革新によって働く自由度が高まってきている反面、変化のスピードが速いためスキルが陳腐化しやすいのが特徴です。これは極端な言い方をすれば、これまで“ストック”だったスキルが、“フロー”になっていくということです。

昔は一度学校で習ったスキルを、一生使うことができました。今は、毎日食事をとらないと死んでしまうのと同様に、常に新しいスキルを常に吸収し続けないと働き続けられない、活躍できない世の中になってきています。
人生100年時代であれば、20歳から80歳まで60年間働くことになります。しかし、これからの時代、同じスキルを持った人たちからなるチームで60年間にわたって働くことは無理があると言えるでしょう。

キャリアを20年区切りくらいで考えたほうが、より充実して働くことができるのではないでしょうか。そこで、今から5年前の2013年に提案したのが「40歳定年制」という考え方です。子育てや介護など、様々な事情で仕事を中断する方もいますが、この仕組みはそうした方にとっても働きやすい仕組みを創ることにも繋がると考えています。

<後編:「40歳定年制」のポイントとは
 

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