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INITIATIVE「自分のキャリアは自分で創る」WEBマガジン

HR 2018.04.27 「好業績」と「社員の幸せ」を両立する組織とは

文:株式会社パソナ パソナキャリアカンパニー カンパニープレジデント 渡辺尚

「良い会社を測るものさし」を作りたいという思い


日本の生産年齢人口は、2013年時点で8,000万人を下回り、2030年には6,733万人まで大幅に減少すると予測されています。労働力不足の状況を乗り切るために、企業は「良い組織風土づくり」に加えて「採用力」「育成力」「定着力」を高めることが必要になると考えられます。

パソナキャリアは2010年6月から、社内公募でメンバーを集め「『良い会社』プロジェクト」をスタートしました。
このプロジェクトは、法政大学大学院 政策創造研究科の坂本光司教授と研究室のゼミ生の皆さんに協力いただけるようになったことで、大きな推進力を得ることになります。「坂本先生のためならば」と多くの経営者の方々から共同研究の趣旨に賛同をいただき、インタビューや調査にご協力いただきました。
また、経営者や中小企業診断士、社労士など、実践経験が豊富なゼミの社会人大学院生が持つ多様なキャリアと人脈も、データの着実な蓄積に貢献しています。

共同研究の成果は、2012年に「良い会社サーベイ」のバージョン1として結実しました。
その後、このサーベイの手法が認められ、経済産業省の顕彰制度「おもてなし経営企業選」の調査研究プロジェクトに参画することとなりました。このプロジェクトを通じて全国の優れた企業の経営について調査分析できたことも、私たちにとって大きな意義のある経験となりました。

●良い会社サーベイ https://e-kaisha.pasonacareer.com/



理想の会社へと導く7つのキーワード


現在、「良い会社サーベイ」はバージョン4まで改訂を重ねています。Web・マークシートを使った無記名式のアンケートで、11カテゴリ・83設問で構成されており、10〜15分程度で回答できます。

カバーする領域は、社員の「働く幸せ」をはじめ、「自己効力感」「主体性」「人財開発」「組織風土」「経営への信任」「人事労務への納得」「福利厚生」「職場環境」「多様性」のほか、「顧客」や「地域・社会」との関わり方も含み、総合的な社員の意識調査となっています。76設問は5段階の定量評価、7問は定性的な設問を含みます。

回答を集計・分析することで、会社全体や社員の属性ごとの傾向を知ることができるほか、「良い会社データベース」に基づくベンチマークデータ(偏差値)を算出して、「良い会社」と自社のギャップを定量的に測定することも可能です。

パソナキャリアでは、調査の設計・実施・分析を行うだけでなく、結果に基づく解決策のコンサルティングや必要な研修の提供・アドバイス、「良い会社」ツアーなどを実施して、「良い会社」を目指す企業のサポートを行っています。

これまでに6年間で延べ5万人超の方々からいただいた回答を分析することで、サーベイ高スコア企業の特徴を「7つのキーワード」として導き出すことができました。一つひとつはシンプルなものですが、実践は難しく、またどれが欠けても「良い会社」を実現できない要素です。

長年人材サービス会社でビジネスを行ってきた経験からも、強い納得性を感じる内容になっています。


いきいきと働く社員が企業の価値創造を支える


社員の働く幸せの実現が、お客様への感動的なサービスや、イノベーティブな製品の提供につながります。それは顧客満足を生み出し、リピートや口コミから新たな顧客を創造することで好業績へとつながる、正のスパイラルを形成します。こうしたポジティブな事業活動は、高度なリテンションマネジメントとしても機能するでしょう。

「良い会社サーベイ」を実施したことで、企業風土の実態が経営陣の認識とずれていたことに気づき、より深い分析や改善活動に乗り出した企業もあります。また「中期経営計画のKPIに社員の幸せや活性度を盛り込む」「地方銀行が顧客企業への経営アドバイスのツールとして活用する」など、「良い会社サーベイ」の手法や結果は様々な形で活用され始めています。

「社員を大切にする」ことは、ともすると綺麗ごとになりがちです。人事の方々も、理想像と実際の施策のギャップに悩んでいることと思います。
私たちはそうした悩みの解決を後押しして「好業績と社員の幸せの両立を目指す」ことを日本中、そして世界中の大きなムーブメントにしていきたいと考えています。

いきいきと働く社員がいるからこそ、企業は価値創造ができる。その想いを常に忘れず、これからも皆様とともに、未来につながる人材投資を続けてまいります。
(2018年1月発行「HR VISION Vol.18」より)

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