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HR 2018.02.21 生産性を高める「ワークプレイス改革」とは? 戦略総務で実現する健康経営・働き方改革

文:パソナ・パナソニック ビジネスサービス株式会社 代表取締役副社長 岩月隆一

「戦略総務」実現に向けたオフィス環境づくり


今、オフィス環境づくりの重要性について、二つの観点から注目が集まっています。

一つは、総務をはじめとするバックオフィス部門・間接部門の位置付けです。
働き方改革が声高に叫ばれる昨今、企業の総務部門は、企業の生産性の向上と成長力の増強につながる重要業務を担う部門として認識され始めています。このため、バックオフィス部門で「社員の活性化」を実現するための施策の一つとして、ワークプレイス改革にスポットが当たっています。

この観点から企業の生産性向上を考えるとき、キーワードになるのが「戦略総務」です。
日本企業の“総務のプロ”育成を提唱する、一般社団法人ファシリティ・オフィスサービス・コンソーシアム(FOSC)の副代表理事であり、世界企業の総務事情に精通するクレイグ・カックス氏なども言及していますが、「日本の総務は30年遅れている」という説があります。

30年前は、多くの世界的企業であっても、総務部門は「社内のメンテナンス担当」に留まっていました。しかし、総務部門に充てられる予算は大きく、経営に対して大きなインパクトがあり、仕事の結果は利益やバランスシートにも影響を与えます。

そのため、総務部門におけるファシリティマネジメント業務は企業の戦略にコミットしていく必要があるのです。

こうした事情を踏まえて、現在グローバル企業では総務部門が「専門職」として確立し、重要視されるようになっています。しかし、現在の日本企業の総務部門はそこには至っていません。
今後は、各企業から戦略総務を実践するプロフェッショナル総務人材が求められ、総務BPOへのニーズも確実に高まってくると考えられます。



オフィス環境と「健康経営」「働き方改革」のかかわり


もう一つの観点は、世の中で大きな潮流となりつつある「健康経営」に基づいた「オフィス環境改善」のニーズの高まりです。

2016年、経済産業省のまとめた資料には「健康経営に対する投資は3倍のリターンが見込める試みである」「従業員のメンタルヘルス不調は生産性低下につながる」と記載されています。
こうした背景から、従業員が一日の大半の時間を過ごす「オフィス環境」の改善に注目が集まるようになりました。

健康経営に対する理解と取り組みは、欧米諸国では主流となりつつありますが、日本ではいまだ多くの課題が存在しています。
その主な要因は「従業員の健康管理を担当する部門と、オフィス環境を管轄する部門が分断されている」という点と、「オフィス環境改善にかかる時間的・金銭的コストは高い」という考えが根底にあるためです。

さらに「働き方改革」の観点からも、オフィス環境は重視されつつあります。
現在は主な施策として、労働時間の削減に焦点が当たりがちですが、「働き方改革」本来の目的はそれだけでは達成できません。自社のビジョンやフィロソフィーを理解した従業員が心身ともに健康で、高いモチベーションを保ちながらいきいきと活躍し、エンゲージメントを高められる環境を整えることが大切だと考えます。

オフィス緑化の効果を「見える化」したサービス


こうした背景から、オフィス環境改善の一つとして「オフィス緑化」を導入する企業が急速に増えています。
しかし、ただ単にオフィスにグリーンを置くだけで、期待する効果が上がるとは限りません。植物によっては、従業員のストレスが高まってしまうケースもあるのです。

そこで私たちは、日本テレネット株式会社、青山フラワーマーケットを運営する株式会社パーク・コーポレーションと協働し、新しいオフィス緑化サービス『COMORE BIZ(コモレビズ)』を2017年6月より提供しています。



●「コモレビス」サービスHP https://www.pasona-pbs.co.jp/comorebiz/

コモレビズは、「デザイン化・エビデンス化・見える化」の3つが揃ったオフィス緑化サービスです。オフィスに対する課題をヒアリングし、オフィスの設計・グリーンの配置設計、日々のメンテナンスや効果測定までをワンストップで提供します。

大きな特徴として、成果のエビデンス化、つまり「緑視率」とストレスの関係性を測定できることにあります。
豊橋科学技術大学の松本博名誉教授が中心となって研究してきた「グリーンメンタルヘルスケア」を応用し、ストレスの数値化と、その軽減につながる最適な植物の量・配置を決める算出法を実現しました。これにより、投資に対するリターンなど、結果の「見える化」も実現できるようになります。

加えて、コモレビズを導入したオフィスはデザイン性が高まることによる「リクルーティング効果」や、リラックスした職場環境による「社員のコミュニケーション活性化」等に大きな効果が期待できるほか、「社員のリテンション」にも一役買っているようです。
オフィス緑化、オフィス環境改善のコストはこのような効果と相対比較すべきと考えます。

このような効果を、社内のワークプレイス改革だけではなく、自社サービスにも活かしていこうと、コモレビズを導入したのが大手デベロッパーの東京建物です。
まずは、本社のオフィスフロア約50席にコモレビズを導入した後、サービス提供するテナントの方々にも、物件の提供だけではなくコモレビズをセットにしたワークプレイス改革を支援していく予定です。


新しいワークプレイスのあり方を提案


パソナ・パナソニック ビジネスサービスでは従来から、総務部門における多様なBPOサービスを提供し、業務効率化を支援することで「戦略総務」の実現に貢献してきました。
しかしこれからは、コモレビズをはじめとする付加価値の高いサービスの提供によって、より進化した「ワークプレイスづくり」の提案を行っていければと考えています。

コモレビズは、「緑視率」の考え方によって視覚と働きやすさのエビデンスを明示していますが、これに加え、五感に訴えるサービスの提供もスタートしました。すでに研究によって「計算のミスを減らす香り」が見つかっています。この香りを学生に嗅がせて計算してもらうと、香りを嗅いだ後のほうがミスが減るという研究結果が出ています。

また、音についても研究は進んでおり、水の跳ねる音・鳥のさえずり、葉の揺れる音などをはじめ、人間の耳では聴き取れない周波数をハイレゾ音源でオフィス内に流すことで、生産性は格段に高まります。
社員がより働きやすく、働きがいを感じられる環境づくりは、今後の企業にとってますます重要な要素となっていくでしょう。

私たちは多様なワークプレイス作りや総務BPOサービスによって、企業の“人を活かす”働く場づくりにこれからも貢献してまいります。

【事例】JINSの「Think Lab」に、コモレビズが導入




メガネの先にある可能性を追求するJINSが、様々な分野の企業と連携し、2017年12月に世界一集中できる環境を目指し進化し続ける会員制ワークスペース「Think Lab(シンクラボ)」を東京・飯田橋に開設しました。その「Think Lab」で、コモレビズがワーキングスペースにおける利用者のストレス軽減に貢献するソリューションとして採用・導入されました。

「Think Lab」は、予防医学研究者の石川善樹氏監修のもと、禅寺を参考に集中へのプロセスを開発。仕事中の環境だけでなく、仕事に入る前・休憩時間・仕事を終えた後と、科学的根拠に基づく一連のプロセスにより、利用者の集中状態をマネジメントしています。
目の前に空が広がり、緑あふれる開放的な空間に加え、収束思考から発散思考まで作業ごとに最適なスペースを配備。コモレビズは、ストレス軽減につながる植物の選定や最適な緑視率の実現が、さらなる集中力向上に寄与する可能性を追究し、「Think Lab」と共同で研究していきます。

コモレビズによるオフィスデザインが生産性向上にもつながる効果を明らかにし、より精度を高めることで、企業の健康経営・働き方改革に役立つサービスを目指していきます。

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