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INITIATIVE「自分のキャリアは自分で創る」WEBマガジン

HR 2016.04.19 イントレプレナー(社内起業家)とは何か? その可能性と、壁を乗り越える方法 <前編>

文:INITIATIVE(イニシアチブ)編集部 

昨今、社会課題解決の視点から、またイノベーション創出人材の育成という企業人事の視点から注目が集まっている「イントレプレナー(社内起業家)」。4月21日(木)、起業家支援を続けてきた「Impact HUB Tokyo」(株式会社 Hub Tokyo)が今年から展開する「企業の枠を超えてイントレプレナーが加速し合うプログラム『イントレ・リーグ』」の第1弾が、東京・大手町のパソナグループ本部で開催されます。
イントレプレナーの可能性や抱える課題、その克服方法について、「イントレ・リーグ」の立ち上げメンバー4人がディスカッションしました!



Impact HUB Tokyo 公式ウェブサイト: http://hubtokyo.com
「イントレ・リーグ」公式ウェブサイト:http://intreleague.com



●岩井 美咲氏
株式会社Hub Tokyo コミュニティ・アントレプレナーシップ・プログラムマネージャー。早稲田大学社会科学部卒。大学では異文化コミュニケーションを専攻、その後スウェーデンでの1年間の留学を経て、2013年6月よりImpact HUB Tokyoに参画。年間数十回のイベント企画・運営を行い、起業家コミュニティの活性化と成長のためのサポートを行っている。現在は、東京・地方の両方で、事業創造を支援する起業家育成プログラムのファシリテーターも務める。 

●山口 洋一郎氏
株式会社Hub Tokyo コーポレート・パートナーシップ・マネージャー。慶應義塾大学法学部卒。大和証券株式会社にて個人投資家向け営業を担当し、2013年にサンフランシスコで開催された社会的投資のカンファレンスSOCAPに参加し、翌年には国際協力NPO/Acumen大阪支部として「Osaka+Acumen」の立ち上げを主導。2014年末に大和証券を退職後、2015年2月よりImpact HUB Tokyoに参画し、企業の社会的投資関連リサーチ、社会的投資に関連する事業創造の支援を担当するほか、SOCAPへの日本参加者取りまとめも行っている。

●髙木 元義
株式会社パソナグループ 人財開発室長。2000年パソナ入社。丸の内エリア/金融マーケット、HRコンサルティング営業・営業責任者を経てホールディングス人事部・人財開発部門に異動。現在は、ホールディングス人事部で、グループ全社員を対象とした人財開発、人事制度設計、運用等に従事。主に「キャリアデザイン」、「リーダーシップ」、「チームビルディング」「コミュニケーション」、「ロジカルシンキング」、「プレゼンテーション」など、年間のべ3,000名の社員に対する研修講師、ファシリテーションを行い、社員一人ひとりが活き活きと働く環境整備、制度づくりに邁進している。

●加藤 遼
株式会社パソナ ソーシャルイノベーションチーム長。2006年、パソナに入社。3年間日本橋エリアにてHRソリューションに従事。大企業からベンチャー企業まで幅広い業界・職種の人材採用・育成に携わる。その後、事業企画・コンサルティング部門に異動し、若者就労支援、中小企業経営支援、東北復興支援、地域産業人材育成、中小企業ASEAN展開支援などに携わる。現在は、ソーシャルイノベーションチームの責任者として、行政・企業・NPOとの協働による新しい雇用創造・産業振興プロジェクトの開発に取り組む。

起業家支援を行うImpact HUB Tokyo





――本日はお集まりいただき、ありがとうございます。はじめに、Impact HUB Tokyoについて、簡単に教えていただけますか?

山口(敬称略・以下同):
Impact HUB Tokyoは東京・目黒を拠点とし、「Questioning(現状に疑問を持ったら)+ Action(行動を起こし)= Impact(社会的インパクトを生み出そう)」という考え方で繋がっている起業家のためのベースキャンプです。コワーキングスペースでコミュニティを運営するだけでなく、起業家育成プログラムや起業家同士のコラボレーション支援、事業創造・事業展開支援を行っています。

Impact HUBという取り組みは2005年、イギリスのロンドンでスタートしました。現在、世界80都市で展開しており、緩やかな繋がりを形成しています。

事業アイデアを実現したいと思っても、一人だけで全てを形にすることは難しい。そこで、物理的な場やコミュニティを設けることで、事業を一緒に作っていく共同創業者(コ・ファウンダー)や投資家、メンターなどの出会いやコラボレーションの機会を創り、社会的インパクトを生み出していこうというコンセプトです。

岩井:
私たちは、スペースやコミュニティはあくまでアントレプレナーの事業成長という目的達成のための手段だと考えています。

リソースが足りない傾向があるスタートアップフェーズの起業家が、事業を創り、ビジネスとしてお金を生み出し、持続的に成長していくためのひとつの手段がコワーキングスペースであり、コミュニティなのです。それによりお互いの信頼関係が醸成され、人材や投資家の紹介、知識や経験の共有が生まれ、成長を促すための推進力となります。

イントレプレナー支援プログラム「イントレ・リーグ」がスタート


――そのImpact HUB Tokyoでは今年から、「企業の枠を超えてイントレプレナーが加速し合うプログラム『イントレ・リーグ』」を立ち上げ、その第1弾をパソナグループと共に、4月21日からスタートします。そもそも、どのようなきっかけで企画が立ち上がったのですか?

加藤:
最初のきっかけは、SOCAP(ソキャップ)への参加でしたよね?

山口:
はい。SOCAPはSocial Capital Marketの略で、毎年、アメリカ・サンフランシスコで開催される参加型カンファレンスです。(主催:Impact HUB San Francisco)

世界中から2000人を超える、「インパクト投資」にかかわる起業家、投資家、財団、企業、政府関係者、NPOが集まります。セッション数、国籍、日数ともに、インパクト投資分野では世界最大規模のカンファレンスとして世界的に知られています。
社会にインパクトを生むための起業と投資を実践するリーダー達が、実践から得た学びを共有することに重きを置いている点が特徴です。

2015年は10月6日~9日の4日間にわたり開催され、Impact HUB Tokyoでは日本からの代表チームを組織して、総勢16名で参加して来ました。そこに、パソナの加藤さんがメンバーとして参加してくださいました。




加藤:
社会課題解決型の事業を行うにあたり、起業家と企業、投資家、行政などがフラットに議論して知恵と資金を出し合うという、日本では珍しい取り組みに関するイベントがあると知り、SOCAPへの参加を決めました。

さらに、2015年からセッションの中で「人材」がクローズアップされると聞き、俄然興味がわきました。社会課題解決を誰がやるのか、そういう人材をどう育成するのかなどを議論したいと考えました。

私は仕事を通じて、企業、行政、NPOなどの協業により社会課題解決型の事業の開発を行っていますが、企業セクターでそうした分野に取り組む人材は多くないと感じています。人材の発掘・育成ができておらず、いたとしても企業内で理解が得られず苦労している方が多い印象です。
以前からそうした課題感を持っていたため、参加して良いか上司に相談したら、「業務として行ってこい!」とゴーサインをもらいました。

山口:
私は昨年も含めて、SOCAPにはこれまで複数回参加していますが、昼間のセッションでの学びだけではなく、昼間の内容を咀嚼しながら夜な夜な語り合うことで、参加者同士でも多くの学びを得ました。その経験が今回の「イントレ・リーグ」の企画に繋がっています。

SOCAP Japan Teamには様々な会社のイントレプレナーの方が参加されますが、皆さんが会社の立場を超えて深いレベルでオープンに語り合い、お互いに支援し合う関係が自然発生的に出来上がっていったことが、とても印象的でした。こういう繋がりを、帰国後も作っていこうと思ったのです。



使命感を持つイントレプレナーたち


――そもそも、「イントレプレナー」とはどういう人たちなのでしょうか?


山口:
イントレプレナーとは、「社会の問題点を解決するために、自分に何ができるのか」という根本的な問いのもとに自らビジョンを描き、所属する会社のリソースを活かしながら、それを実現しようとする人たちと考えています。

加藤:
私も同感です。社会課題の解決に、会社のリソースを使って事業を起こす人ですね。

イントレプレナーには、自分の肌で感じた大きな問題意識を持っている方が多いです。そしてリサーチしても、その問題を解決する仕組みが社会にはまだ存在しないと気づく。気づいてしまった責任として、「自分がやらなければ」という使命感を持っている方が多いですね。




岩井:
そういう意味では、イントレプレナーもアントレプレナーも同じかもしれませんね。「自分がやらなければ」という使命感を持ち、「今の自分の立場で何ができるのか」というマインドセットを持っています。
ただ、スタートアップのアントレプレナーではリソース不足でできないことを、会社に属しているイントレプレナーなら実現できるというケースは、とても多いと思います。

加藤:
良い悪いという議論ではなく、日本は欧米に比べて、行政と大企業にリソースが偏りすぎていると思います。

そうした中で、海外のベンチャーキャピタリストの方から、アントレプレナーに投資するために資金面の支援だけではなく、共同創業者などの仲間を紹介することもあると知りました。
人材サービス会社のような動きを、海外の投資家はしている。こうした部分に、私たちのような人材サービス会社の役割や、今後の可能性が見えてくる気がします。
 



(後編へつづく)

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