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コラム:Vol.7【柑橘で日常を学びの時間に】

今号は、柑橘(かんきつ)がテーマです。身近なフルーツであり、様々な顔を持つ柑橘を使った子どもの食育についてお伝えいたします。大人の声がけ次第で子どもは様々な経験や知識を得ることができます。柑橘を通して、親子の楽しい学びの会話が生まれますように!可愛いみかんのトーストレシピもご紹介するので是非ご覧ください。

柑橘は身近なフルーツであり食育のいい教材になる

日本には多種多様な柑橘があります。ジャムやお菓子に加工されることも多く、様々な姿や味に変化する柑橘は食育の素晴らしい教材になります。収穫された物がジャムなどの保存食になることを学んだり、生果だけでは経験できない、味や香りを知る事ができるからです。

子どもの五感を刺激し視野を広げる声がけを

まず初めに、温州みかんや伊予柑、オレンジなどの生果を利用して、子どもに対して食育の観点でどのような働きかけができるかをご紹介します。

皮をむく

すぐに取り組める内容として、子どもに外皮をむいてもらいましょう。色や質感、香り、季節、産地に関することなど、年齢に合わせた声がけをすることで、子どもの五感や興味が刺激されます。また、子どもの成長によりむき方やむく物を変えれば、どの年齢のお子様も達成感が得られます。
幼児は温州みかんの皮むきに挑戦しましょう。幼児にとっては難しい作業なので、手のいい運動になります。必要に応じて大人がサポートし、自分でむけたという達成感を得られるようにします。外皮をつけたまま半分にしたものを渡すと、2〜3才でもむくことができます。
旬を迎えている伊予柑やでこぽんは、温州みかんよりも外皮が硬いですが、小学生になったら手でむくことができます。むき始めが硬いので、包丁で十字に切り込みを入れてあげましょう。

オレンジは、くし切りにした状態であれば、幼児でも手で皮をむけます。包丁に慣れている場合は、包丁を使った皮むきにも挑戦できます!

果汁を絞る

続いてぜひ試していただきたいのが、絞り器を使ってお子様と果汁を絞るということです。とても盛り上がり、学びも大きいですよ!
ほとんどの子どもは、「簡単!」と言って取り組み始めます。ところが意外に力を使う難しい作業だと気づくと、子ども達は熱中し始めます。
オレンジなど身が硬い柑橘を絞る場合は、想像しているよりも力が必要です。しかし、やみくもに力を入れると、まだ果肉がついているのに絞り器の先端部分の皮が破けることがあり、力の調整が必要だと気づきます。
柔らかいみかんは絞りやすいですが、外皮が破れやすく、果汁を取り出すことが難しくなります。絞り器を使わず、手で握り潰す子も出てきて、みんな果汁を少しでも多く絞りだそうと一生懸命に取組み始めます。
そうして苦労して得られた果汁が、想像以上に少ないことにも驚きの声が上がります(子どもが頑張って絞りだせる果汁は、オレンジ1個当たり100ml以下のことが多いです)。普段目にしているペットボトルのジュースに比較して、あれだけの量を絞り出すのに、どれだけの労力が必要になるのかという、今まで気づいていなかった新たな視点が生まれます。

お子様の年齢によっては、「濃縮還元ジュース」について話を広げても良いでしょう。濃縮還元ジュースとは、収穫後に絞りだされた果汁を加熱して濃縮し、冷凍保存した物に、再度水分を加えて加工して元の濃度に戻してジュースにしたものです。収穫時期にかかわらず果汁をいつでも加工できる、保管費用や輸送費を下げる、といったメリットがあります。食を通して視野を広げることも、素晴らしい食育です。

調理する

柑橘は、生果を食後のフルーツとして食べるだけでなく、サラダの具材にしたり、果汁やジャムをドレッシングにしたり、焼き菓子にするなど楽しみ方は多岐にわたります。様々な調理方法を取り入れ、多くの味を経験することで味覚が育ちます。

今回は、手軽に作れる『みかんチーズトースト』をご紹介します。普段あまり目にすることがない、みかんの断面を見ることができるので、目で見て楽しい、甘酸っぱいトーストを楽しんでください。前号で朝食についてお伝えしましたが、みかんチーズトーストも朝食にぴったりです!

みかんチーズトースト | レシピ

材料(1人分)

みかん(Mサイズ) 1個
食パン 1枚
ピザ用チーズ 30g
バター 5g
砂糖 小さじ2
くるみ 2粒程度

作り方

  1. みかんは外皮を剥いて4枚に輪切りにする。くるみは荒く刻む。
  2. 食パンにピザ用チーズを広げ、①を並べる。バターを4等分してみかんの上にのせ、砂糖をふる。
  3. 5分程度トースターで焼く。

スーパーの売り場も食育の場に

食べたり調理する事だけが食育ではありません。スーパーの売り場を見て、産地を知ったり、収穫された生果がどのように加工をされているかを知ることも、日本の食を知るきっかけとなり、食育になります。
スーパーの商品を見ていると、学校や塾の勉強と結びつくことも多いです。柑橘は菓子類にも多く使用されているので、例えば商品のパッケージに「◯◯産のレモン使用」「温暖な気候は◯◯の栽培に最適で〜」などと記載されていることがあります。菓子類は適量を守りつつ、「この前勉強した(産地や地形の)ことが載ってるよ!」とおやつの時間を親子で楽しむ時間として活かすことも良いですね。勉強したことが生活と密接に関わっていると理解できると、勉強のモチベーションが上がることがありますので、ぜひお試しください!



柑橘は種類が多いうえに、ハウス栽培品や輸入品、加工品を含めると1年中身近な存在です。大人は子どもの視野が広がるような声がけを心がけ、何気ない日常を学びの時間にできたらいいですね!

料理家・キッズ食育トレーナー : 玉田悦子さん

キッズ食育トレーナー。1981年生まれ、千葉県出身、3児の母。
食品メーカーにて開発及びマーケティングに携わった後、料理家として独立。
子どもに様々な食材と触れ合って欲しいという思いから食育活動を始め、2016年に3才~小学生を対象とした食育スクール「青空キッチン市川」を開講(現在月18レッスン開講中)。
その他、コラム執筆やセミナー、フォトスタイリストとしてレシピ開発及び料理撮影等を行っている。
モットーは「食卓を囲む全員にとって食事の時間がもっと楽しいものになりますように!」。食事を作る人も食べる人も幸せであるようなレシピの開発に尽力している。

『プロフェリエ』の玉田悦子さんのページはこちら

※玉田悦子さんは、パソナグループのグループ会社『プロフェリエ』に所属するプロの方です。

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