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INITIATIVE「自分のキャリアは自分で創る」WEBマガジン

HR 2017.07.31 障害者の才能・能力を活かした活躍の場の拡大 ~精神障害者の雇用義務化と法定雇用率引き上げに向けて~

文:株式会社パソナハートフル 取締役 白岩忠道

制度改正で注目が高まる精神障害者の雇用


ここ5年ほどで、日本企業に「ダイバーシティ」が浸透してきました。最初は女性活躍推進に注目が集まっていましたが、昨年ぐらいから次のテーマとして「障害者雇用」が上がりつつあります。2018年4月には障害者雇用率制度が改定され、精神障害の方が法定雇用の算定基準に含まれるようになることもあり、人事部門の方々の関心も高まっていることと思います。

戦後を含むかつての日本では、障害者に対する無理解や差別が当たり前のようにあったことは事実です。1960年に障害者雇用促進法が制定され、障害の軽い方から雇用が進み、少しずつ雇用率が上昇しました。そして今、「ダイバーシティ実現のために精神障害の方の雇用に着手しよう」という機運が高まり、制度改正にもつながっていると感じます。

しかし受け入れる企業の側からすると、身体障害に比べて精神障害は目に見えづらく、どのように配慮すべきか不安に思うことも多いのではないでしょうか。データ上でも、精神障害者の平均雇用年数は他の障害者に比べて短い傾向にあり、「精神障害の人は定着しにくい」と感じるかもしれません。

一方、働く障害者の側からすると「自分たちが勝手に辞めたわけではなく、企業側の受け入れ体制にも問題があった」と不満を抱く場合も多いのです。お互いがなんとなく距離を置いたまま、ギャップが埋まらずに雇用がうまくいかなくなっている面はあるでしょう。

ただ、精神障害の方は、比較的中途障害(先天的な障害ではなく、事故や疾病などで人生の途中で発生した障害)の方が多く、社会に出て仕事をした経験がある人も多いという特徴があります。指導方法や受け入れの仕方次第で、企業の中で活躍できる場も多く見出せるでしょう。

精神障害の方と接するときは、声かけの仕方や言葉の選び方に配慮が必要ですが、実はそうした配慮は健常者にとってもプラスになるものです。一人ひとりがお互いに支え合い、感謝し合える職場を実現できれば、会社全体にとっても大きなメリットになると考えられます。


▲株式会社パソナハートフル 取締役 白岩忠道
(パソナハートフルHP: https://www.pasona-heartful.co.jp/ )

「障害は個性」と捉え共生の場を築く


パソナハートフルは、パソナグループの特例子会社として2003年に設立しました。「才能に障害はない」というコンセプトを掲げる私たちの使命は、障害のあるメンバーがそれぞれの才能・能力を活かして働ける職域を創ることです。

例えば、障害によってはオフィスでの仕事が困難な方もいます。しかし彼らの中には、絵を描くことや、もの作りで素晴らしい能力を発揮する人もいるのです。それであれば、彼らの得意なことや個性を引き出して、その能力を最大限発揮できる場を私たちが創ろう。そんな思いから、絵を描くことを仕事とするアーティスト社員の育成や、農業・パン工房といったオフィス業務以外の職域を創り、就業の場を広げてきました。

パソナハートフルでは、出勤時はみんなビジネススーツを着用します。障害のあるメンバーやそのご家族には「スーツを着て働く」ということ自体考えたこともなかったという方も多いので驚かれますが、スーツで通勤し、会社で業務に合わせて着替えることは、彼ら自身の自覚や尊厳にもつながると考えています。

一方で通勤が難しいメンバーもいるため、各地に職場を作る取り組みも進めています。民間企業だけでの設備投資は難しいので、自治体と連携したり、学校の敷地内に就労場所を作る活動を継続しています。

このような取り組みを通じて、パソナハートフルでの障害者の雇用が増えるにつれて、パソナグループの中でも「今まで言わなかったけれど、実は家族が障害を抱えている」など、打ち明ける社員が見られるようになりました。自分たちの身近で障害のあるメンバーが働いている姿を見て、オープンにできるようになったと。そうした変化も、理解や共生の表れの一つだと感じています。

企業の中に障害者雇用のサポーターを増やす


障害者雇用に対する不安を払拭できればという思いから、パソナハートフルでは企業向けのセミナーを継続して開催しています。すでに障害者雇用が進んでいる大手企業では、さらに雇用を増やすために社内の理解を広げたいというニーズが多いようです。

一方、中小企業では障害者雇用に取り組んだことのない会社も多く、まずは担当者が勉強をするためにセミナーに参加する傾向が見られます。
セミナーに参加した方からは「別の会社でも、自社と同じ悩みを持っていることに気づいた」という声が数多く上がっています。社内に相談する相手がおらず、自分の認識が正しいのか疑問や不安を感じているというケースは多いようです。

現在、パソナハートフルは独自の「障害者雇用サポートサービス」を提供するとともに、(公財)東京しごと財団から「職場内障害者サポーター事業」を受託し、事務局を運営しています。

※「職場内障害者サポーター事業」
https://www.shougaisya-support.jp/

この事業は、障害者の職場定着を推進する企業を募集し、障害のある社員をサポートする人材を養成することを目的としています。3日間の講義で基礎知識を身につけた人を「障害者サポーター」として登録し、支援計画に基づいて6カ月間職場内で支援活動を行い、その間パソナハートフルの支援員がサポートを行います。2016年度は300人を超える受講がありました。


▲職場内障害者サポーター事業の養成講座で行う受講企業同士の意見交換会では、「他社の障害者への支援状況を聞くことができ参考になった」という声が多く寄せられました

一人ひとりの特性を見極め、仕事を切り出して任せる


「障害者に任せられる仕事がない、一日分の仕事がない」という悩みを持つ企業もあるようです。しかし、気がついていないだけで、彼らの能力や特性を活かせる仕事はたくさんあります。
例えば、パソナグループのメール室は、基本的に障害のあるメンバーのみで仕事が回っています。同じような障害特性を持った方であれば、引き継ぎも可能です。

そうしたノウハウを活かして、パソナハートフルでは企業から仕事を請け負い、障害者スタッフがその仕事を十分にできるようになったところで仕事と人材を企業に返すという取り組みも行っています。すると、企業側は「この仕事が得意なら、別のこんな仕事もできるのでは」と仕事を切り出して任せられるようになっていきます。

障害者一人ひとりの苦手なこと、得意なことを見極めて理解し、個性のある一人の社員だと受け入れることができれば、活躍の場はどんどん広がっていきます。それは、健常者の社員でも変わらないのではないでしょうか。
一人ひとりがそれぞれの個性を活かして働くことができる環境づくりを目指して、私たちはこれからもサポートを続けていきます。

(2017年7月発行「HR VISION Vol.17」より、一部改変)

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