文：INITIATIVE編集部
フランスのパリで日本の地方創生に取り組む―。そう聞くと「どうしてパリで！？」と驚かれる方もいるかもしれません。2003年に農業人材の育成を開始し、全国各地で農家や地元事業者と共に地域活性化に取り組んできたパソナグループが、現在チャレンジしているのは「海外からの地方創生」です。それに挑戦しているのは
パソナ農援隊の田中康輔社長。田中社長がパリで地方創生事業を立ち上げた理由や現在の取り組みをご紹介します。
田中康輔社長（中央）とプロジェクトメンバー
日本の食材をフランス人シェフに紹介
――パリでどのような事業を行っているのですか？
日本各地の職人の方々が手間をかけて丁寧に作っている高品質な食材やお酒、伝統工芸品などを、フランスのパリから世界に発信する事業を行っています。
2016年2月にパリ市内に常設型のプロモーションショップ
『L'épicerie par Pasona（エピスリー・パー・パソナ）』を開設し、レストランのシェフやバイヤー、個人の方などを対象に、日本全国の生産者こだわりの商品を紹介しています。
具体的には、醤油や味噌、お酢などの調味料や、柚子、山椒などの香辛料といった加工食品、お米を中心とした農産品が多いですね。また、漆器や陶器、包丁などの食に関する伝統工芸品も扱っています。
――パリで日本食材のプロモーションをしようと思った理由をお聞かせください。
全国には高い技術を持つ職人の方々が造られる素晴らしい商品が数多くあるにもかかわらず日本国内ですら知られていないケースが多く、何とかしたいと考えていました。
また、パソナ農援隊で全国の地方自治体や農業関連法人などとお付き合いをさせていただく中で、欧州での販路を拡大したいという声を多く聞きました。
しかし、欧州で短期開催の食品展示会に出展しても、その後に販売できる場がないため効果が限定的だったり、予算や人的資源の都合で継続的な営業活動ができないなどの悩みを抱える自治体・企業が非常に多いのが現状です。
そこで、イベントとイベント後の継続的なプロモーションがセットになった仕組みを作りたいという想いのもと、日本の価値ある商品を集めて、情報発信をしていくプロモーション拠点を作ろうと思いました。
その拠点をパリに作ったのには、もちろん理由があります。フランスと言えば美食の国。特にパリは有名なレストランも非常に多い世界一の食の都であり、「食」の分野における高いブランド力がある都市のため、プロモーションを行う場所としては最適です。
そして、パリでのプロモーションによりその商品のブランド価値を上げ、世界展開に活かしてもらうことを目指しています。
例えば、経済発展が目覚しいASEAN地域などでは日本食材への関心も高まっています。しかし、アジアは消費力がある分だけバイヤー側の力が強く、せっかくの高品質の商品が買い叩かれてしまうことも多くあります。
そこで、まずはフランスで有名シェフにその商品を評価してもらい、商品の世界的なブランド力を高めてからアジアに進出したほうが、プレミアムな商品として広く展開が図れます。
フランスでの和食人気は高い
――日本の食材は、フランスで受け入れられているのでしょうか？
最近のフランス料理はヘルシー志向で、伝統的なフレンチと異なり味付けなども重たくないものが人気です。そして、中でも和食との融合はひとつのトレンドになっており、フランス人の中でも和食の文化や技術、日本食材への関心は非常に高いです。
実はフランスでは、数多くの日本人シェフが和食だけではなくフレンチレストランでも活躍しています。ミシュランの星を取っているシェフも数多くいます。こうした日本人シェフが、日本料理の発想や調理法、食材をフランス人シェフたちに伝えているのです。
パリを代表する有名なフレンチレストランでも、味噌や醤油、ワサビ、柚子、出汁など、様々な和の食材が当たり前のように使われています。
私たちパソナ農援隊では、パリのトップシェフに、それぞれのニーズにあった品質の高い商品を紹介しています。
シェフにその商品のファンになってもらい、実際に使ってもらうことでその商品のブランド価値を高め、更には様々なメディアを通じて世界へ情報発信を行い、プレミアムな商品としての認知度の向上と販売拡大に繋げたいと思っています。
そうすることで日本各地の生産者・中小メーカーが元気になり、それがひいては日本の地方創生にも繋がると考えています。
【後編に続く】
●パソナ農援隊 公式サイト
http://www.pasona-nouentai.co.jp/
●L'épicerie par Pasona 公式Facebookページ
https://www.facebook.com/PasonaAgriPartnersInc.inParis/
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