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INITIATIVE「自分のキャリアは自分で創る」WEBマガジン

HR 2016.08.19 ますます広がるAI・ロボット技術 働く人に求められるスキルシフトとは何か

文:株式会社パソナ 代表取締役社長COO スコット佐藤

未来に向けて、いま企業が直面する課題は何か、その課題に対する処方箋はあるのか、さまざまな角度から考える連載企画「未来を創る人事」。第3回は、近年目覚しい発展を遂げるAI・ロボット技術の普及に伴い、企業人事としてそれらをどう活かしていくべきか、また働く人にはどのようなスキルシフトが求められるのかを考えます。



AIやロボットは人の仕事を奪うのか?


「AIやロボットが人の仕事を奪う」という懸念がまことしやかにささやかれています。

実際、2016年4月に経済産業省が出した「新産業構造ビジョン」の試算では、スーパーのレジ係や製造ラインの工員といった単純労働がAIやロボットに置き換わる〝現状放置シナリオ〞において、735万人の雇用者数減が予測されています。
一方、〝変革シナリオ〞(AI技術革新、データを活かした新たな需要発掘から生まれる付加価値の高いサービス業や情報サービス部門などの成長による雇用増加を見込むシナリオ)では、161万人の減少に抑えられるとも示唆しています。

この600万人の違いがどこから生まれてくるのか、答えは明らかです。一人ひとりが自らの仕事を単純労働から付加価値創造型の仕事へどう変化させていくのか。あるいは、AIやロボットなどの革新的な技術を、それぞれの仕事の中でどのように活かしていくのかがポイントになるということです。

日本の人や社会、産業界の潜在的な適応力を考えれば、現実的には〝変革シナリオ〞が妥当なのではないかと考えられます。

なくならない仕事、新しく生まれる仕事


パソナが提供するサービスでも、既にAIやロボットの力を活かす事例が出てきています。

あるクライアントはグローバルに事業を展開する大企業で、世界中に約800人の駐在員がいるのですが、経費処理一つから旅費や健康診断の領収書に至るまで、1件ずつ領収書を付けて提出し、日本の人事部が確認して精算しなければなりませんでした。
これをパソナが業務委託で請け負うことになったのですが、ワークフローの中にロボット化によってドラスティックに効率化できる部分、つまり、人の仕事をロボットで置き換えられる工程がいくつかあると判断しました。

例えば、経費の入力が正しいかどうかの確認作業です。これまでは、ホテルの価格や為替レート、移動距離など、人事担当者がインターネットで検索して1件ずつチェックしていました。そこにロボットを導入することで、確認作業の7〜8割を自動化できるようになります。
しかもロボットは夜中に作業できるので、人事担当者は翌朝出社したら、ロボットでは不足する部分だけをフォローすればいい。これにより、マンパワーもコストも削減することが可能になります。

こうしたロボット化によって、業務処理をする人材の役割は変わってはいきますが、なくなるわけではありません。逆に、ロボットを導入・運用するためのワークフローの変更や、ロボットに業務フローを教えたり、新しい機能を加えたりする業務は増えていくのです。

そうした場合、例えばその分野の業務経験がない人が担当するよりも、業務経験者がロボットのプログラミングを学んで業務フローをロボットに教えていけば、全体としても効率が上がり、その人はスキルを身につけることで将来のキャリア的にも大きなチャンスを得ることになるのです。

このようなことからも、働く人にスキルチェンジを啓発していくことが、人事部にとって今後大きな役割になっていくと考えられます。



パートナーシップで拓く未来


AIやロボットを含む技術革新が雇用のあり方に大きな影響を与えるということは、人材会社としてのパソナグループにも大きな影響を与えます。
「新しい技術を教えるスキルを持った人材」へのニーズが飛躍的に高まることが予想されるとともに、最先端の技術・システムに対応するために、さまざまなコラボレーションが必須となります。

今後、新たな変革が起こりそうな分野として、企業の文書管理業務があります。
2015年度の税制改正により、電子帳簿保存法の規制が緩和され、すべての国税関係書類を電子化することが可能となりました。 さらに、2017年からはスマートフォン、デジタルカメラで撮影したものも証跡として認められることとなり、今後、企業ではすべての文書をデータで一元管理し、業務効率アップや内部統制強化を図っていくことが潮流になってくるでしょう。

アメリカでは既に企業における文書管理の電子化が進んでおり、電子化支援のサービスも急速に伸びています。「ハンコ文化」が浸透している日本では、さらに顕著な成長が期待できます。
そのため、電子化の最先端技術を持つ企業とパートナーシップを組み、その企業のプログラムを扱う技術者を育成するとともに、サービス導入する際に必要な人材をパソナから派遣する形で協働していくことも可能です。私たちは、今まで事務職として働いていた方をそうした最先端技術のプログラマーとして育成し、新しい仕事に就いていただこうと考えています。

このような協業関係は、さまざまな業界、さまざまな技術で可能です。新しいスキルを学び、お客様の役に立てるクリエイティブな人材を育成していく。それはパソナにとっても重要なチャレンジになるでしょう。

(参考)パソナとドキュサイン・ジャパンが協業 デジタル・トランザクション・マネジメント クラウドサービスの導入を推進

人がよりよく働くためのAI・ロボットの活用


今後の展開として、パソナのBPO(ビジネス・プロセス・アウトソージング)サービスで、プロセスの一部にロボットの導入を進めていきます。人材によるBPOから、AIやロボットを活用して仕事の改善につなげられるBPOに進化していかなければならないと考えています。

例えばコールセンターでは、ロボットで対応できる回答はシステムに組み込むことができます。また事例やデータを分析し、人間のオペレーターがロボットからアドバイスを得ることで、回答のレベルアップにもつなげられます。AI・ロボットの持つさまざまな利点を最適化できれば、カスタマーサービスの対応をダイナミックに変革できるのです。

このように、AI・ロボットを活用してサービスレベルや仕事の質を向上させるという変化は既に起き、相当のスピードで進んでいます。労働力人口減少の時代にあっては、人はより高い価値を創造する仕事で活躍すべきです。

これからは、単純に作業の効率やスピードを上げたり、多様な業務に対応するだけではなく、人がよりよく働くためにAI・ロボットを活用することが求められます。そんな新しい時代に対応した、新しいスキルを持った人材を一人でも多く輩出すること。それこそが、これからのパソナグループの使命だと考えています。

(2016年7月発行「HR VISION Vol.15」より)

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