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INITIATIVE「自分のキャリアは自分で創る」WEBマガジン

ライフ 2016.02.15 介護をしながら、安心して働き続けられる「介護離職ゼロ社会」に

文:株式会社パソナライフケア 代表取締役社長 高橋康之

2025年には65歳以上の4人に1人が要支援・要介護者になると言われ、企業にとって今後従業員の介護問題は益々大きくなっていきます。
パソナライフケアは、介護事業者としてのノウハウを活かし、従業員が介護をしながら安心して働き続けられる環境づくりをサポートしています。



介護離職者は年間10万人


安倍内閣は成長戦略「新3本の矢」の一つとして「介護離職ゼロの実現」を打ち出しました。親などの介護のために仕事を辞めざるを得ない介護離職者は年間10万人にのぼり、潜在的にはその数倍もの「離職予備軍」がいると言われています。

現在の介護従事者570万人の過半数は働く人々であり、そのうち40代から50代の働き盛りが約6割を占めています。
このように、企業の中核を担う40代・50代のキャリアに大きな影響を及ぼす介護離職問題は、「優秀人材の確保・労働生産性の向上」の観点からも、一企業だけではなく社会全体の喫緊の課題となっています。

男性社員の介護問題はさらに深刻


2025年には団塊の世代が後期高齢者年齢に突入し、在宅介護サービスを利用する高齢者は2014年度から40%増え、約500万人にまで達すると予測されています。

一方で、仕事と介護の両立を取り巻く環境はますます厳しい状況になっています。共働き世帯が主流になった今、これまでの主な介護の担い手であった専業主婦は減り、頼れる兄弟姉妹数も減少傾向にあります。
さらに、生涯未婚の独身者が急増しており、特に男性の生涯未婚率は女性の2倍にあたる20.1%と、これまで配偶者や兄弟に親の介護を任せることが多かった男性社員も、必然的に介護を担っていくことになるでしょう。
仕事と家事・育児を両立してきた経験が少ない男性社員にとって、介護のために労働時間を調整することへの心理的負担は大きく、身体的・精神的に疲弊してしまい、離職をせざるを得ないケースも増加しています。

このような状況のもと、戦力人材の介護離職を防がなければ会社の将来はないと「仕事と介護の両立支援」に取り組む企業が増えています。

まずは介護実態の把握から


全国30カ所でデイサービス・訪問介護などの介護保険サービスを展開し、家事代行サービスなども手掛けるパソナライフケアは、企業従業員の介護離職を予防する『介護離職予防サービス』を2015年2月から開始しました。

介護期間や対象人数が読みづらく、予算化が難しい側面を持つ両立支援において、会社が手を差し伸べるラインをどこに置くのかは悩ましいところです。自社の実情に合った両立支援策を講じるためにも、まずは介護に直面し、介護予備軍となる従業員がどの程度いるのかを顕在化させることが肝要です。
パソナライフケアでは、企業の状況に合わせて従業員アンケートの調査項目を策定し、その結果に基づき支援制度の構築をサポートしています。

介護を語れる企業風土づくり


パソナライフケアが企業を対象に行ったアンケートで、「仕事と介護の両立支援を進める上での課題」として最も多かったのが、「介護を行う社員に対する周囲の理解」で全体の71%を占めました。
この課題を解決するためには、従業員が介護について語れる職場の雰囲気づくりを行っていくことが重要です。



その第一歩として、社内のイントラネットやハンドブックを通じ、介護の心構えや介護保険制度の基礎知識について発信するなど、まずは会社側から介護に関する情報発信を積極的に行っていくことが必要でしょう。

さらに、リアルな情報発信の場として社内介護セミナーを実施することも有効です。セミナーでは、介護に直面してから介護保険サービスを利用するまでの流れや、仕事と介護を両立するためのポイントなど、全従業員を対象にしたものから、介護に従事する部下への対応法などを学ぶ管理職向けまで、企業の課題感に応じた社員向け勉強会を開催しています。

このような情報提供や情報交換の場を提供することにより、従業員一人ひとりの意識変革と理解を深め、社員同士が介護について語ることのできる企業風土を醸成していきます。


▲急に訪れる介護に備え、仕事と介護の両立法を学ぶ「社内介護セミナー」へのニーズが急速に高まっています

仕事との両立を専門家がサポート


いざ介護に直面し「誰かに相談したい」と思った時、どこの誰に相談すればいいか途方に暮れることも多いはずです。また、介護というセンシティブな問題だけに、「専門知識のない人事担当者が社員の相談に応じるのは困難」という声も多く、パソナライフケアでは経験豊富な主任ケアマネージャーを中心に、介護現場を知り尽くしたメンバーがご相談に応じる電話相談窓口を設けています。
すでに担当のケアマネージャーがいる方でも、疑問に感じることなどを、セカンドオピニオンとして活用いただくケースもあります。

また、病院付き添いなどの介護保険外サービスや、掃除や買い物などの家事を従業員の代わりに行う生活支援サービスなども提供しています。
このサービスは、代替えのきかない専門性の高い仕事に従事する社員が介護に直面した際、仕事に専念できる環境を整備するため、一歩踏み込んだ福利厚生として導入する企業が増えています。

政府が「施設」から「在宅」へと介護政策を推し進める中、今後在宅で介護に従事する人は益々増えていきます。働く人々が在宅で介護をしながら、安心して働き続けられる社会の実現に向けて、パソナライフケアは今後も仕事と介護の両立を支援するサービスを提供してまいります。

(2016年1月発行「HR VISION vol.14」より)

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